日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フーバー(J(ohn) Edgar Hoover)
ふーばー
J(ohn) Edgar Hoover
(1895―1972)
アメリカの官僚、FBI(連邦捜査局)長官。首都ワシントンに生まれる。1916年ジョージ・ワシントン大学を卒業後、1917年に司法省に入り、1921年に同省捜査局次長、1924年29歳の若さで同局局長に就任。以後死までの48年間同じポスト(同局の改称により1935年からはFBI長官)にとどまった。悪質かつ諸州にまたがる犯罪に対抗するため、強力な捜査官の育成と高度な捜査技術の開発に努めた。1930年代のギャング狩り、第二次世界大戦時のスパイ摘発、戦後冷戦期の「アカ狩り」、ベトナム反戦運動弾圧を指揮した。強烈な反共思想の持ち主で一貫した共和党びいきであった。主著に『隠れ家の人々』(1938)、『共産主義の研究』(1962)がある。
[塚田広人]
『W・サリバン、B・ブラウン著、土屋政雄訳『FBI――独裁者フーバー長官』(1981・中央公論社)』