FBI(読み)えふびーあい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「FBI」の意味・わかりやすい解説

FBI
えふびーあい

連邦捜査局Federal Bureau of Investigationの略称。アメリカ合衆国唯一の全国的な警察的捜査・調査・逮捕権限をもつ司法省(連邦検察庁)下の組織。政治・治安警察的色合いが濃い。通例は連邦捜査局と訳されるが、捜査だけでなく、はるかに広い強大な権限をもつ。1908年ボナパルト司法省長官のもとで議会の強い抵抗にあいながら、同省内に少数の捜査官を置くことで発足。24年、同省内の一部局としてJ・エドガー・フーバー局長に任命されてから政治的秘密警察としての活動が強化され、20~30年代にギャング狩り(いわゆるGメンの活動)で名をあげたことから、35年FBIと改称した。以来フーバー長官のFBIは、任免権をもつ歴代大統領も恐れるほどの秘密警察ぶりをほしいままにした。

 現行犯の逮捕権だけで起訴権限はないが、州・地方警察と「協力」、指導し、ことに(1)銀行強盗、(2)州際間犯罪、(3)ハイジャック、(4)連邦公務員の犯罪、(5)国家へのいわゆる「破壊活動」取締り、などがFBIの担当である。なんといってもFBIの特徴は、盗聴・私信開封・尾行などを駆使しての政治家・政府高官を含むあらゆる市民の公私生活に関する秘密ファイルが民主主義下のアメリカ市民生活への無言圧迫となっていることである。冷戦下の1940~50年代のマッカーシズムは、FBIのファイルなしには成立しえなかった。フーバー長官の死(1972)後も、冷戦終結後のいまに至るまで、大統領によって指名された各省の長官や大公使さえも、FBIの安全証明(クリアランス)なしには実質的に就任しえないほどである。現在では日本を含む各国同種の警察組織との協力・情報交換も活発である。

陸井三郎

『W・サリバン、B・ブラウン著、土屋政雄訳『FBI 独裁者フーバー長官』(1981・中央公論社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「FBI」の意味・わかりやすい解説

FBI
エフビーアイ

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