ブッシュマスター(英語表記)bushmaster
Lachesis mutus

改訂新版 世界大百科事典 「ブッシュマスター」の意味・わかりやすい解説

ブッシュマスター
bushmaster
Lachesis mutus

クサリヘビ科に属する毒ヘビ。1属1種。属名はギリシア神話の“運命を割りあてる女神ラケシス”に由来するが,これは本種がきわめて危険な毒ヘビであることによる。ニカラグアからコロンビア,ブラジル,ペルーおよびトリニダード島に分布し,全長2~3m,最大3.7mに達し,毒ヘビではアメリカ大陸最大種。頭部は大きいが極端な三角形でなく,吻(ふん)部両側にはピットがある。胴の側面には三角の模様が並び,体鱗は隆条が顕著で盛り上がる。低地から山地降雨林に生息し,多湿で比較的涼しい場所を好む。個体数は少ないが,夜行性で,強い出血毒をもつので現地ではおそれられる。毒牙(どくが)は長大で,全長3.5mの個体では長さ3.5cmに達する。餌はネズミ類を主とした小動物。卵生で,雌は産卵した卵塊を守る。長期間の飼育はむずかしい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブッシュマスター」の意味・わかりやすい解説

ブッシュマスター
ぶっしゅますたー
bushmaster
[学] Lachesis mutus

爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目クサリヘビ科のヘビ。同科マムシ亜科に属し、1属1種。属名のLachesisがギリシア神話の「命脈の長さを決定する運命の女神ラケシス」に由来するとおり、アメリカ大陸では最大でもっとも危険な毒ヘビとされる。ニカラグアからコロンビア、ブラジル、ペルー、トリニダード・トバゴなどに分布し、全長約3メートル、最大は3.7メートルに達する。頭部は大きいが極端な三角形ではない。低地から山地に至る降雨林の比較的涼しい場所に生息し、個体数はあまり多くない。しかし、夜行性で長大な毒牙(どくが)と多量の強い出血毒をもち、現地では恐れられる。餌(えさ)はネズミ類などの小動物である。卵生で、雌が抱卵して守る。飼育は条件がむずかしい。

[松井孝爾]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブッシュマスター」の意味・わかりやすい解説

ブッシュマスター
Lachesis muta; bushmaster

トカゲ目クサリヘビ科。体長 3.5mをこえる大型の毒ヘビで,性質は比較的おとなしいが,咬まれると非常に危険である。体は灰褐色ないし橙褐色の地に,白く縁どられた黒褐色の菱形紋が並ぶ。中央アメリカ南部と南アメリカ北部に分布し,普通は林の中にすんでいて夜行性である。卵生で,一腹に 12個ぐらいの卵を産み,母ヘビはそのまわりにとぐろを巻いて孵化するまで保護する。

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