翻訳|Brittonic
ローマ人のブリテン島征服(43-410ころ)に先立ち,この島に移り住んでいたケルト人の使用した言語で,ブリトニック諸語,またブリソニック諸語Brythonicともいわれる。この言語ではインド・ヨーロッパ(印欧)共通基語におけるkWの音がpであらわれていた(例えばゲーリック語equos〈馬〉に対するブリタニック語eposのごとく)。この意味でブリタニック語はゴール語とともにいわゆるp-群のケルト語に属する(ケルト語派)。この言語はローマ軍撤退後もしばらくは均斉を保っていたらしいが,やがて5~6世紀にアングロ・サクソン人の侵攻が激しくなると,しだいに方言に分化し,ウェールズ語,コーンウォール語,ブルトン語の生成をみるにいたった。この段階では語の末尾音節はほとんど消失し,屈折語としてのインド・ヨーロッパ語の特徴は同時代のアイルランド語に比して影が薄くなっている。しかし語頭の音韻変化,屈折前置詞,動名詞verbal nounなどはゲーリック語とほぼ並行的な発達をみた。
執筆者:土居 敏雄
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…ケルト語派のうちのブリタニック諸語の一つ。5~6世紀にかけてブリテン島南西部から対岸のブリタニー(ブルターニュ)に渡ったケルト人がもたらしたもので,現在も同地で行われるが,話者の大部分はフランス語との二重言語使用者である。…
※「ブリタニック諸語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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