ゲーリック語(読み)ゲーリックご

改訂新版 世界大百科事典 「ゲーリック語」の意味・わかりやすい解説

ゲーリック語 (ゲーリックご)
Gaelic

ゲール語あるいはゴイデリック語Goidelicともいう。ケルト語派の一分枝で,アイルランド語のほかにスコットランド・ゲーリック語とマン島語すなわちマンクス語が含まれる。このうち後者の二つはアイルランド語からの派生であり,10世紀までは3者ほぼ斉一であった。したがってゲーリック語はアイルランド語によって代表される。古期アイルランド語(600-900)の名詞には男・女・中性,単・複・双数,五つの格があった(現代では中性,双数の形はなく,目だった格変化もない)。アクセントが語頭にあったため末尾が早く消失した。消失に先立ち後続の語頭音に特有の変化(緩音化と鼻音化)を起こしていた。動詞は文頭にくるが古くは文末にくることも珍しくなかった。代名詞は必ず前置詞と融合するか,動詞のなかにとりこまれた(これが独立の形で文中に現れるのは中期以降である)。これらの非インド・ヨーロッパ語的性格は基層語の影響によるものとも解せられ,インド・ヨーロッパ語学者の間にもその解釈をめぐって異説がある。
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百科事典マイペディア 「ゲーリック語」の意味・わかりやすい解説

ゲーリック語【ゲーリックご】

ゲール語とも。インド・ヨーロッパ語族のケルト語派に属するアイルランド,スコットランド,マン島の諸語の総称。Gaelic。アイルランド語がその代表。これは5世紀ごろスコットランドへ輸入されスコッチ・ゲーリック語となった。ゲーリック語の一派であるマン島のマンクス語Manxは17世紀の文献をもつが英語に押されて母語としての話し手は消滅した。しかし最近復活の試みがある。
→関連項目ピアス

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゲーリック語」の意味・わかりやすい解説

ゲーリック語
ゲーリックご

「スコットランド・ゲーリック語」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のゲーリック語の言及

【スコットランド】より

… 中世末以来のイングランド化の現象は言語の面で著しく,現在はイングランド語(英語)もしくはスコットランド方言化したイングランド語が用いられている。ゲーリック語の使用は減少し(1971年の使用者は8万8753人,うちゲーリック語のみ338人),ハイランド・西部島嶼地帯の一部に限られている。しかし,ナショナリズムの復興とからみ,文化運動としてのゲーリック語の尊重がみられる。…

※「ゲーリック語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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