改訂新版 世界大百科事典 「ブリューヌ」の意味・わかりやすい解説
ブリューヌ
Jean Brunhes
生没年:1869-1930
フランスの地理学者。エコール・ノルマル・シュペリウールでビダル・ド・ラ・ブラーシュに学び,その立場を発展させた。雄弁で社交的で,晩年は銀行家になるなど異色の存在である。初めは地形学や地質学に関心が深く,研究態度は自然科学的であった。フリブール大学自然地理学教授(1896)を経てコレージュ・ド・フランスの教授(1912)に招かれる前後から社会的現実への関心が深まる。学位論文《地中海諸国の灌漑研究》(1902)は法的な側面をもとらえ,《人文地理学》(1910)は具体的な人間活動の分類を試みる。《フランスの人文地理》2巻(1920,26)と《歴史の地理学》(1921)はバローC.Vallauxとの共著で,人間の労働や生きた政治を取り上げる。彼の実際的で動的な社会に対する感覚はいまでも注目に値する。
執筆者:松田 信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報