神奈川県西部、足柄上郡(あしがらかみぐん)にある町。1909年(明治42)町制施行。1955年(昭和30)寄(やどりき)村と合併。JR御殿場(ごてんば)線、小田急電鉄小田原線、国道246号、255号が通じ、東名高速道路の大井松田インターチェンジも南東に接する大井町に設けられて、県西部の交通、商業の中心地である。酒匂川(さかわがわ)に川音(かわおと)川(四十八瀬(しじゅうはっせ)川)が合流する地区にあたり、谷口集落としておこった。江戸時代には矢倉沢(やぐらさわ)往還の宿場町。良質の水を利用する製綿と木工品製造が特産で、南向きの山地斜面はミカン園に開かれている。庶子(そし)のからさわ瓦窯跡(がようせき)は奈良時代後期のものとみられ、中世には松田市街地は松田氏の拠点で、惣領(そうりょう)と庶子の地名はその一族の居住地にちなむものとされている。寄神社の祭囃子(まつりばやし)、寒田神社(さむたじんじゃ)の大名行列は貴重な民俗芸能である。寄地区に自然休養村がある。面積37.75平方キロメートル、人口1万0836(2020)。
[浅香幸雄]
神奈川県西部,足柄上郡の町。人口1万1676(2010)。足柄平野の北端にあり,町域の大部分を丹沢山地が占める。中心集落の松田惣領は酒匂(さかわ)川と川音(かわおと)川の合流点に位置し,中世には松田荘が置かれた。足柄平野北部の交通の要地にあり,矢倉沢街道の宿場町,丹沢山地と大磯丘陵の接する谷口集落として発達し,現在はJR御殿場線と小田急線が交わるほか,国道246号,255号線が通り,東名高速道路の大井松田インターチェンジが設けられている。1880年,郡役所が関本村(現,南足柄市)より松田惣領に移転,郡の行政の中心地となった。商業活動も盛ん。北部は丹沢大山国定公園に含まれ,寄(やどろぎ)地区では観光ミカン園,キャンプ場などが整備されている。
執筆者:千葉 立也
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