日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブーツBouts)」の意味・わかりやすい解説
ブーツ(Dirk (Dieric) Bouts)
ぶーつ
Dirk (Dieric) Bouts
(1410/1420―1475)
ネーデルラントの画家。ハールレムに生まれ、1445年ないし1448年以来ルーフェン(ルーバン)で活躍した。彼の生涯と業績については未詳の点が多いが、ロヒール・ファン・デル・ワイデンの後継者の一人とみられ、ワイデンのドラマチックな要素を避け、写実的なディテールに繊細な情感を盛り込んだ点が特色とされている。とくに風景に新鮮な情緒を与えている点は高く評価される。代表作はルーフェンのサン・ピエール聖堂の祭壇画『最後の晩餐(ばんさん)』(1464~1467)で、ほかにミュンヘンのアルテ・ピナコテークとブリュッセル王立美術館にも宗教画の作品がある。なお、2人の息子ディールク2世(1448ころ―1490/1491)、アルブレヒトAlbrecht B.(1452/1460―1549)も画家として知られる。
[野村太郎]