改訂新版 世界大百科事典 「ブリュッセル王立美術館」の意味・わかりやすい解説
ブリュッセル王立美術館 (ブリュッセルおうりつびじゅつかん)
Musées royaux des Beaux-Arts de Belgique, Bruxelles
ブリュッセルにある美術館。ベルギーがフランス革命政府の支配下にあった時期に,15の県に美術館を設けるという政令(1799)により発足した。当初の収集は,フランス軍により地元の教会堂や修道院,世俗的公共施設から接収された作品と,パリの中央美術館から送られた17~18世紀のフランス,イタリアの絵画で構成されていた。さらにナポレオン失脚後の1816年,フランス政府から返却された作品も加えられる。87年には,それまでの旧宮殿から1876-85年建設の新古典主義様式の現在の建物に移った。古典美術部門は15~17世紀のフランドル絵画が質量ともに他を圧し,中でもロマニストおよびルーベンス,ヨルダーンスの作品の収集に特色がある。近代美術部門では,新古典主義からロマン主義,写実主義,印象主義を経て象徴主義に至るベルギー19世紀絵画の展開が示され,ダビッド(《マラーの死》),アングル,ドラクロア,クールベ,ゴーギャン,スーラなど,フランスの画家についても少なからぬ傑作が集められている。
執筆者:高橋 裕子
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