改訂新版 世界大百科事典 「プラズマアーク溶解法」の意味・わかりやすい解説
プラズマアーク溶解法 (プラズマアークようかいほう)
plasma arc remelting
プラズマアーク(熱および磁気作用により径の絞られた気流のアーク放電)を利用した金属溶解法。トーチに組みこまれた電極と金属自身との間の放電を利用した移送式プラズマアークが使われている。プラズマトーチの開発が難しいためにその開発の歴史は浅く1960年代に行われたもので,工業的プロセスとしては旧東ドイツ,旧ソ連,日本で利用されてきたにすぎない。溶解の対象は,経済上の理由から高級特殊鋼,超合金,高融点金属に限られるが,旧東ドイツでは最大35t炉を用いて低合金鋼を含む種々の鋼種が製造されていた。プラズマアーク炉の特徴として,(1)電極が非消耗であること,(2)雰囲気の組成,圧力が調節できること,(3)揮発性元素を含む合金が溶解できること,(4)プラズマ化によりガス成分が励起されているために化学反応に基づく精錬を促進したり,通常では達成できない濃度まで気体を溶解できること,等が挙げられる。実際の溶解炉としては,容器材料に耐火物,水冷銅鋳型を使う方式,連続的に原料を装入できる方式,誘導攪拌(かくはん)を伴う方式等が開発されている。
執筆者:佐野 信雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報