大学事典 「プリメディカル・コース」の解説
プリメディカル・コース
学士課程生が自ら選択した分野を専攻する一方,医学大学院側が指定する化学,生物学,物理学等の理系科目,英語作文等を3年以内に履修し,医学大学院への進学条件(素養)を整える履修上のプログラム。専門職向け訓練を大学院段階で行うアメリカ合衆国では,学士課程生は基礎学術のいずれかを自由に専攻する。他方,特定の学問分野は現代医学の基礎として早期の履修が不可欠である。学士課程での医学専攻予備課程(Pre-Medical)は,この相反する要請を調停する。しかし,大学は同時に時間をかけて,医学大学院進学の希望者に,自らの適性・力量と医師の職務の実態とを十分に照合した上で選択するよう促し,医療関連のボランティア活動への参加を手助けし,標準適性テストの受験を含めた進学スケジュールの全うを配慮する。医師職向け勉学の準備でありながら,学生に根拠ある選択を迫るガイダンスでもある。医師にふさわしい人物の特性が重視され,人文専攻の学生さえ歓迎される昨今,Pre-Medicalのガイダンス的側面は,一層重要となるであろう。
著者: 立川明
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報