ヘクテモロイ(その他表記)hektēmoroi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘクテモロイ」の意味・わかりやすい解説

ヘクテモロイ
hektēmoroi

古代ギリシアのアッチカにおけるソロン以前の農民の一階層。「6分の1の人」の意。彼らの実態が何であり,ソロンが彼らのために何をなしたかは明確でない。おそらく彼らは本来,自由な小土地所有者であったが,不作のおりに近隣富農から穀物を借り,返還ができないままに土地を譲渡して農奴として耕作を続け,収穫の6分の1を納入し (彼らの保留分が6分の1との説もある) ,もしそれも支払えないと,彼らと家族は奴隷に転落した。ソロンは彼らの債務を帳消しにし,譲渡地の標識を除去して,土地をもとの所有者に返したといわれる。

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世界大百科事典(旧版)内のヘクテモロイの言及

【ソロン】より

…前600年ころサラミス島の領有をめぐるメガラとの争いに市民を激励して名声を得,前594年アルコンに選ばれた。当時のアテナイでは,平民である多数の農民が土地と身体を抵当として貴族から借財し,それを返済できない場合には土地を債権者である貴族に引き渡し,収穫の1/6の納付と引きかえにその土地を耕作する,ヘクテモロイhektēmoroiと呼ばれる隷属農民の地位に転落し,さらに1/6を納付できない場合には家族もろとも債務奴隷となった。そこで平民は負債の帳消しと土地の再分配を要求し,貴族との間に激しい党争を続けた。…

※「ヘクテモロイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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