日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘジャーズィ」の意味・わかりやすい解説
ヘジャーズィ
へじゃーずぃ
Muammad Hejāzī
(1899―1974)
イランの作家。テヘランに生まれる。同地のフランス系学校で学んだのち、西欧に留学。帰国後政府の要職を歴任するとともに活発な執筆活動を続け、長編小説、短編小説の分野で著名な作家になる。イラン女性の運命と特色を描き、女主人公の名を小説の題名とする長編三部作『ホマー』(1927)、『パリーチェフル』(1929)、『ズィーバー』(1931)によって文壇の地位を確立した。とくに第三作は現代ペルシア文学の傑作の一つに数えられる。1950年代には二つの長編『パルバーネ』と『涙』を発表して好評を博す。短編小説250編は『鏡』(1932)、『思考』(1937)、『酒杯』(1951)、『メロディー』(1951)、『微風』(1961)の短編小説集に収められている。彼の文体は、俗語を駆使した他の作家たちとは対照的に文学的であり、注目すべき特色といえよう。
[黒柳恒男]