化学辞典 第2版 「ヘプタフルベン」の解説
ヘプタフルベン
ヘプタフルベン
heptafulvene
7-methylene-1,3,5-cycloheptatriene.C8H8(104.14).非交互炭化水素の一種で,赤色の非常に不安定な物質.シクロヘプタトリエンカルボン酸アミドより導かれる第四級アンモニウム塩を,減圧下に室温で酸化銀で処理すると得られる.深紅色の結晶.融点-43 ℃.-20 ℃ ですみやかに重合する.とくに酸に敏感である.ヘプタフルベンの溶液にアセチレンジカルボン酸ジメチルを作用させると,付加ならびに脱水素反応によってアズレン-1,2-ジカルボン酸ジメチルが得られる.ヘプタフルベンの8,8-ジ置換体,とくに8,8-ジシアノヘプタフルベンは赤橙色の針状結晶.融点199~200 ℃.非常に安定である.[CAS 539-79-7]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報