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脱水素反応 だっすいそはんのうdehydrogenation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

脱水素反応
だっすいそはんのう
dehydrogenation

(1) 酸化反応の一種で,分子内もしくは分子間の脱水素によって水素を取去る反応の総称。狭義には飽和炭化水素に二重結合を生成する反応をさす。工業的に重要な脱水素反応には,脂肪族炭化水素化合物の選択的脱水素と石油ナフサの接触改質とがある。前者はエタン,プロパン,エチルベンゼンをクロミア-アルミナなどの触媒を用いて高温気相下で脱水素して,それぞれエチレン,プロピレン,スチレンに導く。後者は主としてシクロパラフィンの芳香族化,パラフィンの脱水素環化などの反応を白金アルミナなどの触媒を用いて行う。高オクタン価ガソリンや石油化学原料の製造に使われる。 (2) 生化学的に起る酸化反応の一形式。デヒドロゲナーゼ (脱水素酵素 ) によって1分子から2原子の水素を取除く反応のことである。

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世界大百科事典 第2版の解説

だっすいそはんのう【脱水素反応 dehydrogenation】

有機化合物の分子間または分子内で水素分子が脱離する反応。水素添加の逆反応で,酸化反応の一種とみなせるが,通常,アルコールをカルボニル化合物に変換したり,アミンをシッフ塩基に変換する反応は形式的には脱水素であるが,脱水素反応とはいわない。一般にCH-CH結合をC=C結合に酸化する反応を意味することが多い。脱水素には通常,触媒(脱水素剤)が用いられる。たとえば,2‐メチルシクロヘキサノンを濃硫酸H2SO4を触媒として無水酢酸(CH3CO)2O中で加熱すると,高収率でフェノール誘導体が得られる(式(1))。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

脱水素反応
だっすいそはんのう
dehydrogenation reaction

有機分子から水素H2が脱離する反応をいう。水素化反応の反対の反応で、酸化反応の一種である。代表的な脱水素反応の例を次に示す。
(1)アルコールの脱水素反応によるアルデヒド、ケトンの合成 第一アルコールから1分子の水素(H2)が脱離してアルデヒドを生成する反応、および第二アルコールから1分子の水素が脱離してケトンを生成する反応をいう。たとえば、シクロヘキサノールの蒸気を高温にして亜クロム銅などの銅触媒の上を通すとシクロヘキサノンを生成する(の(1))。同様にメタノールの蒸気を空気といっしょに銅または銀触媒の上を通すとホルムアルデヒドができる。
(2)脱水素反応による芳香族化合物の合成 シクロヘキセンやシクロヘキサンから2分子または3分子の水素が脱離してベンゼン環を生成する反応がその代表である。芳香族化ともよばれる。この反応を利用してベンゼン環(芳香環)が水素化された構造をもつ化合物からベンゼン環を合成することができる。たとえばテトラリンからナフタレンを合成できる(の(2))。脱水素による芳香族化は、石油化学でナフサの改質の際に、ナフテン(シクロパラフィン)の脱水素によるベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素を製造するのに応用されている。脱水素による芳香環の合成には硫黄(いおう)、セレンが古くから使われている。また、DDQ(2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p(パラ)-ベンゾキノン)などのキノン類もこの種の脱水素を行うときの脱水素剤である。パラジウム触媒を用いる脱水素もしばしば芳香環の形成に用いられる。以前には構造が未知の環式化合物の炭素骨格を調べるために脱水素反応法が用いられたことがあり、脱水素によって生じたベンゼン環化合物を手掛りにして元の化合物の構造を推定していた。
(3)その他の重要な脱水素反応 脱水素反応は、工業的には、ブテンからブタジエンを製造する行程、エチルベンゼンからスチレンを製造する行程にも応用されている。これらの反応は芳香族化ではない。現在では、スチレン(単量体)の工業的合成は、もっぱらエチルベンゼンを鉄触媒により脱水素する方法により行われている。[廣田 穰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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