酸化銀(読み)さんかぎん(英語表記)silver oxide

  • さんかぎん サンクヮ‥
  • 酸化銀 silver oxide

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

(1) 酸化 (I)   Ag2O 。黒褐色粉末比重 7.2。 160℃から分解を始める。太陽光にさらすと,銀と酸素に分解する。湿った状態では二酸化炭素を吸収する。硝酸アンモニアに易溶。触媒,飲料水の殺菌に用いられるほか,着色ガラス () の製造,ガラスの研磨に使用される。 (2) 酸化銀 (II)   AgO黒色粉末。 100℃以上で銀と酸素に分解する。強い酸化剤

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世界大百科事典 第2版の解説

化学式Ag2O。褐黒色固体。銀塩の水溶液に水酸化ナトリウムを加えると沈殿して生ずる(このとき水酸化銀は生成しない)。銀板は空気中に放置しても表面に酸化物の薄膜が生成するのみで,それ以上は酸化されない。結晶は,銀原子のみをみると面心立方に,また酸素原子のみで体心立方に配列し,この2種の格子が互いに入り組んでAg2Oの格子をつくっている構造で,酸素原子が4個の銀原子によって正四面体形にとりかこまれ,原子間距離はAg―O=2.043Å,Ag―Ag=3.336Åとなっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

酸素と銀の化合物。普通、酸化銀というときは酸化銀(Ⅰ)をさすが、そのほかに一酸化銀(誤って過酸化銀とよばれることもある)も知られている。

(1)酸化銀(Ⅰ) 硝酸銀の濃水溶液に水酸化ナトリウムの希水溶液を加えて得られる暗褐色粉末。熱および光に対して不安定で、熱すると約160℃で分解し始め、250~300℃で急激に分解して酸素を放ち金属銀となる。水にわずかに溶け(水100gに0.00214g溶ける)、エタノール(エチルアルコール)に不溶。希硝酸、アンモニア水に溶ける。水溶液は強いアルカリ性で、空気中から二酸化炭素を吸収する。

(2)一酸化銀 銀にオゾンを作用させるか、硝酸銀水溶液にペルオキソ二硫酸塩(NH4)2S2O8を反応させて得られる。灰黒色粉末。AgOと書かれるが、銀(Ⅱ)の酸化物ではなく、AgAgO2のような銀(Ⅰ)と銀(Ⅲ)の混合酸化物であるとされている。式量123.9。比重7.48。冷水に不溶、アンモニア水に溶ける。もっとも強い酸化剤の一つである。

[中原勝儼]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 銀の酸化物。
① 酸化銀(I)。化学式 Ag2O 暗褐色ないし褐黒色、等軸晶系の粉末。熱や光に対して不安定。酸化銀のアンモニア溶液から爆発性の雷銀を生ずる。合成有機化学の脱ハロゲンなどに用いられる。
② 酸化銀(II)。化学式 AgO ただし、実体は Ag(I) Ag(III) の混合体。灰黒色、等軸晶系の粉末。強酸化剤として働く。分析試薬に用いられる。

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化学辞典 第2版の解説

】酸化銀(Ⅰ):Ag2O(231.74).硝酸銀などの可溶性な銀塩水溶液に,アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を加えると暗褐色沈殿として得られる.等軸晶系.密度7.48 g cm-3.水に対する溶解度は2.5×10-2 g L-1.溶液はリトマス紙に対してアルカリ性を示す.加熱すると酸素を放出して,300~340 ℃ で完全に分解して単体の銀になる.湿った沈殿を乾燥すると酸素を一部放出し,銀と酸化銀の混合物が得られる.硝酸およびアンモニア水に可溶.アンモニア水中に長時間置くと爆発性の黒色の粉末(雷銀:主成分AgN3)を生じる.有機合成のヒドロキシ基導入剤,触媒,ガラスの着色,導電性ガラスの製造,医療などに用いられる.[CAS 20667-12-3]【】酸化銀(Ⅱ):AgO(123.87).アルカリ水溶液の陽極酸化(銀を極とする)か,酸化銀(Ⅰ)に強い酸化剤を作用させると得られる.銀粉とオゾンでは過酸化銀Ag2O2が得られる.酸化銀-亜鉛アルカリ電池に用いられる.[CAS 1301-96-8]

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