メチレンブルー(読み)めちれんぶるー(英語表記)methylene blue

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メチレンブルー」の意味・わかりやすい解説

メチレンブルー
めちれんぶるー
methylene blue

チアジン骨格をもった塩基性染料で、1876年にドイツのH・カロによって合成された美しい青色染料である。4-アミノジメチルアニリンとチオ硫酸ナトリウムから合成する方法と、フェノチアジンをジメチルアミノ化する方法がある。暗緑青色の結晶または粉末。水、エタノールエチルアルコール)によく溶ける。中性浴から絹、羊毛を染めることができる。また、木綿はタンニン媒染で染色可能である。しかし日光に弱く、染料としての実用価値は低い。還元により無色のロイコメチレンブルーleucomethylene blueとなるが、酸化により可逆的にメチレンブルーに戻る。このゆえに、酸化還元指示薬としての利用がある。このほか、殺菌剤としての医薬や機能検査薬、生体染色剤などにも利用される。

[飛田満彦]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メチレンブルー」の意味・わかりやすい解説

メチレンブルー
methylene blue

青銅色の光沢をもった暗緑色無臭の結晶。 C16H18ClN3S・3H2O で表わされる。水,アルコール,クロロホルムに可溶。水溶液は青色を呈する。ジメチルアニリンとチオ硫酸から合成される塩基性染料。木綿,レーヨン,絹,羊毛を青色に染める。酸性溶液中でチタン (III) 塩,バナジウム (II) 塩,クロム (II) 塩,スズ (II) 塩,銅 (I) 塩,モリブデン (III) 塩,タングステン (V) 塩などにより還元され,無色のロイコ化合物となるので,これらの検出定量に利用できる。またロイコ化合物は塩素酸塩,クロム酸塩,バナジウム酸塩,鉄 (III) 塩,酸素などによって酸化され復色するので,これらの検出にも利用される。さらに酸化還元指示薬,生細胞の酸化還元能力の検出,細胞の核染色用,血球の染色用などとしても用いられる。

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