日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘムニーツェル」の意味・わかりやすい解説
ヘムニーツェル
へむにーつぇる
Иван Иванович Хемницер/Ivan Ivanovich Hemnitser
(1745―1784)
ロシアの寓話(ぐうわ)詩人。ドイツ出身でロシアに帰化した軍医の子として生まれた。10代の前半に軍隊に入り七年戦争などに参加、24歳のとき退役し、その後は鉱山学校に勤めながら鉱業関係の翻訳に従事する。1770年に詩人のN・リボフと知り合い、自らも詩作を始めた。晩年はトルコの町スミルナに領事として赴任するが、まもなく病死した。彼のもっとも重要な作品は、イソップ流に動物の形象に仮託して人間性一般や官僚主義、収賄などの社会的病弊を風刺した一群の寓話詩で、その一部はI・クルイローフの作品と並んで読者の人気を博した。
[中村喜和]