ヘラツノザメ(読み)へらつのざめ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘラツノザメ」の意味・わかりやすい解説

ヘラツノザメ
へらつのざめ / 篦角鮫

軟骨魚綱ツノザメ目アイザメ科の属の総称、またはその1種の名称。ヘラツノザメ属Deaniaは吻部(ふんぶ)がへら状に扁平(へんぺい)で長いことで、ほかのツノザメ目魚類と区別できる。ヘラツノザメ属には4種が知られており、日本近海にはヘラツノザメD. calceaとサガミザメD. hystricosaが分布する。

 種としてのヘラツノザメ(英名birdbeak dogfish)は普通は水深400~900メートルの深海底にすみ、ときに100メートルほどの大陸棚にまでくる。全長160センチメートルほどになる。生殖方法は卵黄依存型の胎生で、全長30センチメートルほどの子を最大で12尾産む。南日本から台湾、オーストラリア南部、ニュージーランドの海域、南東太平洋、東部大西洋などに分布する。同じ深海にすむヘラザメApristurus(メジロザメ目)とは吻が扁平で長いことでよく似ており、ときに混同されるが、ヘラツノザメは臀(しり)びれがなく、背びれに棘(とげ)があることで区別できる(ヘラザメ属には臀びれがあり、背びれに棘がない)。国際自然保護連合IUCN)のレッド・リストでは、準絶滅危惧(きぐ)(NT)に指定されている(2021年9月時点)。

[仲谷一宏 2021年10月20日]

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