日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘンリク」の意味・わかりやすい解説
ヘンリク
へんりく
Henrik den Helige
(?―1156)
イギリス出身のカトリック教の司教。フィンランドの最初の聖者。12世紀なかばごろ、カトリック教会のニコラス・アルバノNicolas Albano僧正(そうじょう)(後の教皇ハドリアヌス4世Hadrianus Ⅳ(在位1154~1159))とともにスウェーデンに到着したと伝えられる。ウプサラの司教を務めていたが、フィンランドへのキリスト教布教の使命を帯びて、スウェーデン王エーリク9世とともに、1155年にフィンランド南西部に遠征した。その後彼はこの地にとどまり、布教活動に従事したが、フィンランド人の抵抗は強く、翌1156年冬、農民ラッリLalliによって暗殺された。
のちにヘンリクは、フィンランド最初の聖人として崇(あが)められ、多くの物語や伝説が生まれ、敬虔(けいけん)な殉教者として偶像化された。彼の墓所に建てられたノウシアイネンNousiainenの教会に納められていた聖骨がトゥルクTurkuの教会に移されたあと、ノウシアイネンの教会に記念の柩(ひつぎ)が置かれた。
[萩谷千枝子 2017年12月12日]