日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベッコウマイマイ」の意味・わかりやすい解説
ベッコウマイマイ
べっこうまいまい / 鼈甲蝸牛
軟体動物門腹足綱ベッコウマイマイ科に属するカタツムリの総称。この科Helicarionidaeのカタツムリは小形で、日本産は約110種。ほかのカタツムリ類が概して植物食性なのに、本科のものは土中の線虫類を食べる肉食性である。活発に動く動物体は殻の一部を覆う。代表的なウラジロベッコウマイマイUrazirochlamys doenitziは、殻高4ミリメートル、殻径8ミリメートルぐらいで、本州から九州の低木林の落ち葉の下にもっとも普通にみられる。殻は薄質、螺塔(らとう)は低く、殻径は緩やかに増大し、殻底はやや平らで白みを帯びる。レンズガイOtesiopsis japonicusは、殻高7.5ミリメートル、殻径14ミリメートルぐらいで、体層の周縁に鋭い稜角(りょうかく)があり、殻頂、殻底のほうに膨れるため両凸レンズ形をしている。九州および本州西部に分布するが、ややまれである。キビガイGastrodentella stenogyraは、殻高が殻径に比しわりあい高くドーム形。殻高1.5ミリメートル、殻径2ミリメートルで、レンズガイ同様の周縁角がある。本州から九州、および朝鮮半島の低木林の落ち葉の間などに多い。カサキビガイYamatochlamys crenulataは、さらに背が高く円錐(えんすい)形で、殻高3.5ミリメートル、殻径2.8ミリメートル。本州から九州に分布する。
[奥谷喬司]