ベラクルス古典文化(読み)べらくるすこてんぶんか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベラクルス古典文化」の意味・わかりやすい解説

ベラクルス古典文化
べらくるすこてんぶんか

メキシコ東部、メキシコ湾岸の現ベラクルスVeracruz州北部・中部を中心に栄えた古典期文化。最盛期は紀元600~900年であり、エル・タヒンが代表遺跡である。テオティワカン文化との接触を通じ、互いに刺激を与え合って形成された文化といわれるが、石彫にみられる雷文と階段文様の組合せや渦巻文様などはベラクルス古典文化特有のものであり、365の小さな壁龕(へきがん)をつけたエル・タヒンのピラミッドは、他に類のない様式を示している。ユーゴとよばれるU字型の石具、アチャ(斧(おの))、またパルマとよばれる特異な型の石製品は、球戯の儀式と関係があったらしい。ベラクルス市西方の遺跡レモハーダスから出土する大小さまざまな中空土偶、なかんずく「笑う顔」とよばれる人形も、この文化の特色を表している。ベラクルス古典文化の担い手は、現在ベラクルス州プエブラ州に住むトトナカ人の祖先であるといわれるが、確証はない。

増田義郎


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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