エル・タヒン(読み)えるたひん(英語表記)El Tajin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エル・タヒン」の意味・わかりやすい解説

エル・タヒン
えるたひん
El Tajin

メキシコ湾岸、メキシコ、ベラクルス州ポサ・リカ市の南東約10キロメートルにある、ベラクルス古典文化(紀元4~9世紀)の代表的遺跡。初め、テオティワカンの強い影響を受けていたが、その衰退期には逆に個性を発揮して影響を与えるに至った。多数のピラミッド神殿球戯場よりなるが、いままで発掘調査されたのは、そのごく一部にしかすぎない。365の方形の小ニッチ壁龕(へきがん))を備え、6層よりなるピラミッドが有名であるが、そのほかの建物も、ニッチ、雷文(らいもん)、張り出した軒蛇腹(のきじゃばら)などで飾られている点に特色がある。十数か所の球戯場が発見され、球戯の祭祀(さいし)が盛んであったことが暗示されている。球戯場の壁面には、生贄(いけにえ)にされる球戯者やベラクルス古典文化特有の複雑に入り組んだ唐草文様の浅浮彫りがみられる。なお、この遺跡は1992年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

増田義郎

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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