ペテロ行伝(読み)ペテロぎょうでん(その他表記)Acts of Peter

改訂新版 世界大百科事典 「ペテロ行伝」の意味・わかりやすい解説

ペテロ行伝 (ペテロぎょうでん)
Acts of Peter

新約外典の一つ。ペテロシモン・マグスとの戦いにおける勝利,クオ・ウァディス物語,そしてペテロの逆十字架の処刑などの内容を持つ。2世紀末に小アジアで執筆されたもので,巷間伝承を集めた信徒のための読物。《パウロ行伝》および3世紀前半の《ディダスカリア》はこの《ペテロ行伝》を用いていると思われる。当時の教会では好んで読まれたようであるが,4世紀初めの教会史家エウセビオスは,その証言価値を否定している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のペテロ行伝の言及

【ペテロ】より

…使徒教父文書の《クレメンスの第1の手紙》5~6章によれば,ペテロはパウロとともにローマで殉教死を遂げたとされているが,その可能性は十分にあると判断されている。しかし外典の《ペテロ行伝》37章の伝える逆十字架での殉教の信憑性は疑問視されている。また新約聖書中の《ペテロの手紙》も,大多数の学者は真正のものとは考えない。…

※「ペテロ行伝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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