パウロ行伝(読み)パウロぎょうでん(その他表記)Acts of Paul

改訂新版 世界大百科事典 「パウロ行伝」の意味・わかりやすい解説

パウロ行伝 (パウロぎょうでん)
Acts of Paul

新約外典の一つ。教父たち(テルトゥリアヌス,ヒッポリュトス,オリゲネスなど)によってその存在が証言されていたが,1894年に発見されたコプト語の〈ハイデルベルクパピルス〉によってその内容が明らかになった。パウロと女性伝道者テクラの宣教活動を描く《パウロとテクラの行伝》と,それまで別の文書と考えられていた《パウロの殉教》およびパウロの《コリント人への第3の手紙》とを含むと考えられている。テルトゥリアヌスによれば,2世紀末に小アジア教会長老によって執筆されたが,彼はそのことのゆえに職を追われたとされる。パウロの神学思想の継承はまったくなく,陳腐な節制奨励が中心。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パウロ行伝」の意味・わかりやすい解説

パウロ行伝
パウロぎょうでん
Acts of Paul

新約聖書外典の一書。その存在は2世紀から知られていたが,1905年 C.シュミットが6世紀のコプト語によるハイデルベルク・パピルスから再構成した。パウロ行伝,パウロとテクラ行伝,ペテロとパウロ行伝,および殉教から成る。内容は小アジアでの使徒の伝道活動で,神学的というよりは物語的である。

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