改訂新版 世界大百科事典 「ペリカン星雲」の意味・わかりやすい解説
ペリカン星雲 (ペリカンせいうん)
Pelican Nebula
IC5067,5068,5070。はくちょう座のα星デネブの東側にある散光星雲。北アメリカ星雲と暗黒星雲を隔てて向かい合っている。星雲のガス密度が低く,非常に淡く輝いているので観測するのはむずかしい。距離は北アメリカ星雲とほぼ同じ2000光年で,この二つの星雲は同じ高温星の放射する紫外光によって電離して輝いている。この星雲は,はくちょう座を大きく取り巻く大きなX線源の一部になっている。数百光年にも及ぶ大きな低温のガス雲内で,連鎖反応的に次々に超新星の爆発が起こり,100万Kの高温ガス領域が広がった。この超新星の爆発作用によって,ガス雲が収縮して高温の星が誕生し,ペリカン星雲のガスが電離されて輝いているのである。
執筆者:磯部 琇三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報