北アメリカ星雲(読み)きたあめりかせいうん(その他表記)North American Nebula

日本大百科全書(ニッポニカ) 「北アメリカ星雲」の意味・わかりやすい解説

北アメリカ星雲
きたあめりかせいうん
North American Nebula

はくちょう座の1等星デネブの近くにある発光星雲(NGC7000)。その形が北アメリカ大陸に似ていることからこの名前がついた。見かけの大きさは約100分角。地球からの距離は2000光年で実際の大きさは約50光年である。メキシコ湾を形づくっている暗黒星雲を挟んで、隣にペリカン星雲がある。この暗黒星雲背後にある励起星によって、二つの星雲が電離されていると考えられている。この領域は、天の川の中の活発な星生成領域の一つで、発光星雲、暗黒星雲、反射星雲が入り交じって存在している。

[岡村定矩]


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改訂新版 世界大百科事典 「北アメリカ星雲」の意味・わかりやすい解説

北アメリカ星雲 (きたアメリカせいうん)
North American Nebula

NGC7000。はくちょう座のα星デネブの東5°くらいのところにある散光星雲。星雲ガスの密度が低いので淡く輝いている。120′×100′もの広がりをもっているので,望遠鏡倍率を高くしすぎるとその存在を確かめるのがむずかしくなる。本来は西側にあるペリカン星雲と一体の150光年もの広がりをもつ大きな散光星雲である。この大星雲の手前側に光を吸収,散乱する星間塵があって,後ろの星雲光を隠しているので,二つの星雲として見えている。そのため,この星雲の北アメリカの形のカリフォルニアからカナダ側では境界があまり明確ではなく,徐々に暗くなっているが,メキシコ湾側では星雲光が急激になくなっている。星雲ガスを電離する紫外光を放射する高温の星は,星間塵の雲の後方に隠されていて見えない。2300光年の距離にあるにもかかわらず,50光年あまりに広がっているのは,星雲ガスの密度が低いためである。
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百科事典マイペディア 「北アメリカ星雲」の意味・わかりやすい解説

北アメリカ星雲【きたアメリカせいうん】

はくちょう座α星の近くに見られる散光星雲(NGC7000)。距離2000光年。北米大陸の形によく似ている。

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