散光星雲(読み)サンコウセイウン(その他表記)diffuse nebula

デジタル大辞泉 「散光星雲」の意味・読み・例文・類語

さんこう‐せいうん〔サンクワウ‐〕【散光星雲】

星間物質の濃密な部分恒星の光を吸収し、特有の光を放射したり恒星の光を反射したりして輝いているもの。銀河系内星雲うち惑星状星雲暗黒星雲以外をいう。

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精選版 日本国語大辞典 「散光星雲」の意味・読み・例文・類語

さんこう‐せいうんサンクヮウ‥【散光星雲】

  1. 〘 名詞 〙 銀河系内星雲一種。不定形で、みずからは光を発せず、明るい恒星の光や熱の反射・吸収などによって光って見える星間物質。時には周囲と対照したとき暗黒に見えることもある。オリオン座大星雲が代表例。ガス状星雲

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「散光星雲」の意味・わかりやすい解説

散光星雲
さんこうせいうん
diffuse nebula

銀河系内にあるガスダスト(塵(ちり))からなる星間物質が光って見えるもの。散光星雲という名称は、望遠鏡の性能があまりよくなかった時代に、ぼんやりと見える天体(星雲)を見かけのようすにしたがってつけたものである。のちに分光観測によって星雲の性質が調べられ、散光星雲には、反射星雲発光星雲があることがわかった。反射星雲は、ガスに混じっているダストが近くの星からの光を反射・散乱して光っているものである。発光星雲はHⅡ領域(あるいは電離水素領域)ともよばれ、水素ガスが高温度星から放たれる紫外線で熱せられて発光しているものである。反射星雲と発光星雲は、星生成領域や若い散開星団に附随して見られることが多い。そのような場所ではしばしば暗黒星雲も見られる。大質量星の進化の最後に起こる超新星爆発で吹き飛ばされたガスが光っている超新星残骸も散光星雲に含める場合がある。

[岡村定矩]


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改訂新版 世界大百科事典 「散光星雲」の意味・わかりやすい解説

散光星雲 (さんこうせいうん)
diffuse nebula

星雲のうちで,不規則な形で明るく輝いているものをいう。その中にはガスが高温度星の紫外光をうけて電離し発光している輝線星雲(発光星雲ともいう)や,星間微粒子が星の光を反射して輝く反射星雲などがある。超新星の爆発で飛び散ったガスの雲をふくめることもある。散光星雲の多くは,暗黒星雲が混在して光と影の織りなす美しい模様を見せる。ある星雲が輝線星雲になるか反射星雲になるかは星雲を光らせる星の表面温度による。温度2万K以上の高温星では紫外光が強く輝線星雲となる。銀河系内で散光星雲は多くの場合,星の形成領域と深く結びついている。高温度星の存在は最近星が形成された証拠であるし,電波あるいは赤外線によって形成過程にある原始星を観測することもできる。遠方の銀河に存在する大型の散光星雲はその直径などからその銀河までの距離を推定するという目的に使われることもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「散光星雲」の意味・わかりやすい解説

散光星雲
さんこうせいうん
diffuse nebula

星雲のうち不定形のもの。中心星をもつ惑星状星雲と区別される。近くの星の光を受けて輝く反射星雲,みずから発光する電離ガス領域などのガス星雲,それに暗黒星雲の別がある。オリオン大星雲,いて座の三裂星雲,北アメリカ星雲など。

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百科事典マイペディア 「散光星雲」の意味・わかりやすい解説

散光星雲【さんこうせいうん】

星雲のうち,不規則な形で明るく輝いているもの。星間物質が近くの恒星または星団の光を受けて輝く反射星雲,ガスが高温度星の紫外光を受けて電離して発光する輝線星雲がある。オリオン星雲,はくちょう座の網状星雲など。

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世界大百科事典(旧版)内の散光星雲の言及

【星雲】より

…輝線星雲は銀河系内部の天体現象として見直すと,恒星がその生涯の晩年に質量を放出してつくる惑星状星雲,恒星が爆発してとび散ってできる超新星の残骸,若いO型星から放射される紫外線で星間ガスが電離してできるHII領域などに分けられる。実際には惑星状星雲を除く輝線星雲と反射星雲を合わせて〈散光星雲〉と呼ばれてきている。したがって星雲の名称と分類をまとめると次のようになる。…

【電離水素領域】より

…光や電波でよく見える領域の一つで,オリオン星雲やオメガ星雲などの物理的呼名である。これらの領域は電離した水素や,酸素,炭素などの再結合線スペクトルによって観測され,美しい雲のように輝くので散光星雲とも呼ばれる。表面の温度が数万Kの大きな明るい星の周囲の水素原子は,星からの強い紫外線のために電離されて,イオンの密度はきわめて小さい(10~100個/cm3)が,直径10~100光年の巨大なプラズマ領域を作る。…

※「散光星雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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