化学辞典 第2版 「ホウ化タングステン」の解説
ホウ化タングステン
ホウカタングステン
tungsten boride
【Ⅰ】ホウ化タングステン(tungsten boride):WB(194.65).タングステンとホウ素とをまぜて強熱するか,三酸化タングステンWO3と三酸化二ホウ素B2O3との混合物にアルミニウムを加えて加熱すると得られる.正方晶系と斜方晶系(融点2860 ℃)の2種類がある.いずれもBは一次元のジグザグ鎖状に配列し,両者はWの配列が異なる.密度はいずれも約15.3 g cm-3.外観は金属状で,水に不溶,HClに不溶.熱硫酸,熱硝酸,王水などに可溶.溶鉱炉などの耐火材,耐熱化学装置用に用いられる.[CAS 12007-09-9]【Ⅱ】ホウ化二タングステン(ditungsten monoboride):W2B(378.49).正方晶系.密度16.0 g cm-3.融点2770 ℃.Cと1900 ℃ に加熱するとWBになる.[CAS 12007-10-2]【Ⅲ】五ホウ化二タングステン(ditungsten pentaboride):W2B5(426.74).六方晶系.Bは二次元の層状構造.密度10.8 g cm-3.融点2200 ℃.比抵抗2~6×10 μΩ cm(25 ℃).[CAS 12007-98-6]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報