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溶接 ようせつwelding

翻訳|welding

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

溶接
ようせつ
welding

2体の金属を接合面で主として加熱溶融して1体に接着する方法で,固相溶接,融接,ろう接の3種に大別される。溶接技術は第2次世界大戦以降,その利用価値が再認識され,次々と新しい溶接方法が開発されている。溶融加熱にはアーク,アセチレンガス燃焼,テルミット法などが用いられる。溶接部の肉盛りのため溶接棒を使う場合が多く,軟鋼では炭素 0.08~0.15%の軟鋼線にケイ酸ソーダ酸化鉄,石灰,セルロースなどの混剤を被覆したものが多く使われるが,高炭素鋼,合金鋼,非鉄金属材料にはそれぞれ接合母材と類似の組成のもの,あるいは母材とよくなじむ材料が選ばれる。雰囲気を不活性ガスとして裸溶接棒を使う MIG法,潜弧溶接法,タングステン棒で通電して溶接棒を用いない TIG法 (→アーク溶接 ) などもある。船舶,建造物,橋梁などの構築に,古いリベット法に代り非常に多く使われる方法である。

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知恵蔵の解説

溶接

金属素材の接合法の一種。世にある製品群は、様々な異種材料や異形部品を組み立てて作られ、それらの加工や組み立てには様々な接合法が用いられる。接合法には、大別して、ボルトなどを用いる機械的方法、接着剤を用いる方法、そして溶接法がある。溶接法にも、低融点の金属を接合対象の金属面間に流し込んで固める蝋(ろう)付け法、接合金属板を重ねて強く押しつけ、摩擦熱などで圧着部を一部溶融させて接合させる圧接法があり、後者は携帯電話など小型の家電製品や自動車部品の製作に広く使われる。溶接法は、対象金属同士を溶融凝固させて接合する方法で、高層建築、橋や鉄道、船舶、ラインパイプなど巨大構造物の建設には不可欠な技術であり、自動車など形状の複雑な製品製造にも欠かせない。瞬間的に、千数百度の高温を得る必要があり、加熱には高いエネルギー密度の熱源を要する。水素やアセチレンを酸素で燃やすガス溶接法もあるが、圧倒的に多用されるのが、電気でアークを発生させる方法で、空気の混入による酸化防止のために、アルゴンや炭酸ガス、あるいはフラックスで溶融部を保護する。さらに高密度エネルギー源のプラズマ、電子ビーム、レーザーなども、高精度溶接に利用される。

(徳田昌則 東北大学名誉教授 / 2008年)

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デジタル大辞泉の解説

よう‐せつ【溶接/×熔接】

[名](スル)二つの金属の接合部を高熱で溶かして継ぎ合わせること。

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百科事典マイペディアの解説

溶接【ようせつ】

金属の接合部分を加熱し,溶融状態,または粘性状態で加圧して接合する方法。広義にはガラス,プラスチックなど非金属の同様の接合法も含む。溶接は近年の著しい技術進歩で,接合部分(溶接継手という)の強度信頼性が向上,資材,工数の低下をはかることができるため,最良の金属接合法としてリベット継手などに代わり,造船・建築・機械など多方面で利用されている。
→関連項目物理冶金鑞付

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世界大百科事典 第2版の解説

ようせつ【溶接 welding】

材料の接合法の一種で,接合する個所に局部的に熱や圧力を加え,融合または原子の拡散によって金属学的に接合する方法をいう。溶接ができる材料は,鉄鋼ステンレス鋼耐熱合金鋳鉄アルミニウム合金銅合金ニッケル合金チタンジルコニウムタンタルモリブデンなどのほとんどの金属材料のほか,セラミックス,プラスチックおよびビニル類などの非金属材料にまで及んでおり,さらに同種材料のほか異種材料の溶接も可能である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

溶接
ようせつ
welding

同種または異種の2個の固体材料を、接着剤による接着やボルトやリベットによる緊結ではなく、両固体材料間に直接的な原子間結合を生じさせることによって接合する方法を溶接という。金属材料を溶接するには、接合面を清浄に保ったまま、両材の金属原子が相互に金属結合を形成しうる距離以内に両材を接近させればよい。そのためには、接合部を加熱・溶融し、その部分の金属原子を再配列させる(融接法という)とか、接合部に外力を加えて塑性変形をおこさせる(圧接法という)とか、さまざまな方法が考案、実用されている。
 融接法の一種である溶融金属ろうによる溶接法=ろう付け法は、紀元前2500年以前のメソポタミア・エジプト文明ですでに用いられていた。鉄を加熱し鍛打すれば接合できることも製鉄の開始(前1500)とともに知られていた。しかし溶接法が鋳造法や鍛造法と並ぶ金属加工法の一つとして、船舶・橋梁(きょうりょう)の建造や自動車製造など工業的に実用されるようになったのは、19世紀末のアーク溶接の発明(メリテンス、1881)以後、とくに第二次世界大戦中の溶接技術の飛躍的発達以後のことである。[桑名 武・原善四郎]

溶接法の種類

金属材料の溶接法を、使用されるエネルギーによって分類してみると、工業的にもっとも大規模に実用されている溶接法は電気エネルギーを用いるものであり、そのなかでもアーク溶接の占める割合が大きい。[桑名 武・原善四郎]
アーク溶接
アークの熱によって接合部を溶融して溶接する方法である。最近までその代表的なものは被覆アーク溶接法の手溶接であったが、第二次大戦にかけて、自動化されたサブマージアーク溶接法や、不活性ガスを用いるミグ溶接法・ティグ溶接法が発達し、サブマージアーク溶接法は船舶・橋梁など大型鋼構造物の建造に、後の2法はアルミニウムやステンレス鋼の溶接に実用されている。戦後は、被覆アーク溶接法の半自動化法であるグラビティ溶接や横置式溶接も発達し、炭酸ガスアーク溶接法が鋼材の高能率溶接法として被覆アーク溶接法に匹敵するほど普及している。[桑名 武・原善四郎]
エレクトロスラグ溶接
ソ連で開発された垂直溶接法で、とくに厚板の溶接に適しており、1メートル程度の厚鋼板の連続溶接も可能である。この方法は、溶融したスラグ(鉱滓(こうさい))中に電極ワイヤをノズルから送給し、スラグ内を流れる電流のジュール熱によって電極ワイヤおよび母材(金属板)を溶融させるものである。溶融金属およびスラグが継手間隙(かんげき)から流れ出ないように母材の両側に水冷銅板を設置し、溶接の進行につれてこれをノズルとともに徐々に上方に引き上げてゆく。ノズルのかわりにフラックス(溶剤)を被覆した鋼管を用い、溶接の進行とともに溶融させて溶接能率を高めた消耗ノズル式エレクトロスラグ溶接法が最近わが国で開発され普及している。またエレクトロスラグ溶接と同様な機構で、フラックスのかわりに炭酸ガスを被包ガスとし、アークで溶融池を形成しながら溶接金属を水冷銅板で冷却する溶接法として、エレクトロガス溶接がある。これらの溶接法は厚鋼板を用いた大型構造物の製作に利用されている。[桑名 武・原善四郎]
抵抗溶接
溶接継手の接触部に電流を流し、ここに発生する抵抗熱によって加熱し、圧力を加えて溶接する方法で、スポット溶接、シーム溶接、プロジェクション溶接およびフラッシュバット溶接などがある。最近の自動車車体組立てはもっぱらスポット溶接によっており、1車当り3000か所以上のスポット溶接が多点溶接機およびロボットによって行われている。シーム溶接、プロジェクション溶接は航空機機体や車体製造に利用される。
 高周波溶接は高周波電流による誘導電流の抵抗発熱を利用した方法であり、鋼管の製造に用いられる。[桑名 武・原善四郎]
電子ビーム溶接
高真空中でタングステンフィラメントを加熱して熱電子を放出させ、高電圧で電子を加速し、被溶接物に衝突させ、その発熱によって溶接する方法である。この方法は電磁レンズで1平方ミリメートル以下に焦点を絞ることが可能なので、幅の狭いしかも溶け込みの非常に深い継手を得ることができる。また真空中で溶接を行うので、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどのような大気と反応しやすい高融点の金属も容易に溶接できる。[桑名 武・原善四郎]
プラズマ溶接
水冷拘束ノズルによってアークを緊縮させて1万~2万Kの高温プラズマ流を形成させ、これを熱源として溶接する方法である。高温プラズマは最初、アルミニウム、銅、ステンレス鋼などの板の切断に利用されていたが、その後、溶接に応用されるようになった。高温プラズマの発生方法としては次の3方式があり、プラズマ噴出のための動作ガスには普通、アルゴンが用いられる。
(1)プラズマジェット方式(非移行式ともいう)は、電極とノズルとの間に発生させたプラズマをノズルから噴出させる。そのため非金属材料の溶接および切断に適用できる。
(2)プラズマアーク方式(移行式ともいう)は、電極と母材の間にプラズマアークが形成される。熱効率が高く、一般の金属材料の溶接に用いられる。
(3)中間式は、プラズマジェットとアークをともに発生させる。安定した小電流プラズマアークが得られるので、極薄板の溶接に適する。[桑名 武・原善四郎]
ガス溶接
燃料ガスと酸素との混合ガスの燃焼熱を利用して溶接する方法で、金属の溶接には酸素‐アセチレン溶接が広く用いられている。しかしガス溶接は、アーク溶接に比べ、溶接速度が遅く、溶接継手(接合部)の性質も劣るので、現在この方法の利用はしだいに少なくなっている。[桑名 武・原善四郎]
テルミット溶接
アルミニウム粉と酸化鉄粉の混合物に点火するときに生ずる猛烈な発熱反応(テルミット反応)を利用し、その反応の生成物である溶融鉄を、溶接継手の周囲にあらかじめ設けた鋳型内に注入して溶接する方法である。この方法は、車軸、レールなど断面積が大きい部材の突合せ溶接に用いられる。[桑名 武・原善四郎]
爆圧溶接
火薬の爆発時に発生する衝撃波を利用して金属どうしを高速度で圧接する溶接法である。チタン、タンタル、銅、アルミニウム、ステンレス鋼などの接合が可能である。とくに軟鋼とこれらの金属とのクラッド材の製造に利用される。[桑名 武・原善四郎]
ろう付け
材料の接合面のすきまに、ろうとよばれる、母材より融点の低い合金を流し込んで接合する方法である。この場合、融点が450℃以上のろうを硬(こう)ろうといい、これによるろう付けを硬ろう付け、またはブレージングbrazingとよぶ。融点が450℃以下の軟ろうを用いる場合を軟ろう付け(普通、はんだ付けという)という。硬ろうとしては銀合金、銅合金、アルミニウム合金などが用いられ、軟ろうには鉛、スズ、鉛‐スズ合金が用いられる。[桑名 武・原善四郎]
摩擦溶接
接合しようとする材料を相対的に運動させながら、一定の加圧力で接合面を突き合わせ、その際発生する摩擦熱を熱源として利用して溶接する方法である。接合端部が摩擦熱によって軟化し、圧接温度に達したとき、相対運動を停止するとともに軸方向に加圧して接合を完了する。[桑名 武・原善四郎]
圧接
接合材を強く加圧して局部的に大きな塑性変形を与えて接合させる方法で、古くから用いられた方法である。ガス圧接や鍛接のように、加圧と同時に加熱する方法を、加熱圧接または高温圧接とよぶ。一方、アルミニウム、銅など延性の高い材料の圧接は、加熱せず常温のまま加圧するだけで溶接が可能である。これを冷間圧接という。[桑名 武・原善四郎]
拡散接合
接合面を加圧・密着させ、再結晶温度付近に加熱し、金属原子を拡散させることにより接合する方法である。通常真空中で行われるので、タングステン、モリブデン、ジルコニウムなどのような活性の高い高融点金属の接合も可能である。この方法では接合部の形状変化を伴わずに接合できることから、精密接合が可能である。また、溶融凝固組織の形成がなく、接合温度が低いことから、複合材料、焼結合金あるいは異種金属間の接合が可能である。[桑名 武・原善四郎]
超音波溶接
一種の圧接法であり、被溶接物を重ねて、溶接チップと受圧台の間に挟み、軽い静圧力を加えつつ、溶接チップから超音波振動を与えることにより溶接する方法である。この方法では、振動に伴う接合面の摩擦による表面酸化物の破壊および局部的塑性変形により、新しく露出した金属面どうしの密着が達成され、さらに摩擦熱による局部的な温度上昇により、原子の拡散および再結晶が促進され、強固な圧接部が形成される。この方法は集積回路、半導体のリード線など金属箔(はく)、細線の接合に利用されている。[桑名 武・原善四郎]
レーザー溶接
原子または分子のエネルギー準位間の誘導放射で生じた強力なエネルギーをもつ光線を利用して溶接する方法である。レーザー光線は高エネルギー密度の集中熱源としての性格が強いので、材料に与える熱影響が少なく、熱変形も小さいので精密な溶接、切断などに利用される。大気中作業が可能で、レーザー発生装置から離れた場所までビームを簡単に導くことができるので操作性が高い。
 このほか、太陽光線を熱源とする溶接法が考えられるが、現在のところ実用化には至っていない。[桑名 武・原善四郎]

溶接の長所・短所

溶接の一般的特徴としては、資材の節約、工数の減少、性能と寿命の向上があげられる。溶接継手は、従来構造物の組立てによく用いられてきたリベット継手よりも接合強度が高く、軽くて強い構造物を短期間に建造することができる。また水密性、気密性に優れた長所をもっており、溶接技術は造船、建築、原子力産業はじめ多くの分野で広く利用されている。しかし短所として、溶接は短時間内に高熱を加えて接合する方法であるので、材質の変化、残留応力、変形あるいは溶接欠陥が生じやすく、また品質検査が困難であり、溶接構造物は応力集中に敏感で、低温下で脆性(ぜいせい)破壊の危険を生じやすい欠点がある。このため溶接技術を利用するにあたっては溶接設計に十分注意を払う必要がある。[桑名 武・原善四郎]

溶接設計

溶接設計は広い意味の溶接施工の重要な一部門であり、製作図面に対しては日本工業規格(JIS Z 3021)で溶接記号が制定されている。構造物の工作に溶接を採用する際には、溶接材料、継手の機械的性質、溶接施工法、変形と残留応力の発生、溶接費の算定、溶接後の検査法などにつき正しい知識をもって行う必要がある。[桑名 武・原善四郎]

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