改訂新版 世界大百科事典 「ボゴラス」の意味・わかりやすい解説
ボゴラス
Vladimir Germanovich Bogoraz
生没年:1865-1936
ソ連邦の民族学者,言語学者。タン・ボゴラスTan-Bogorazとも名のった。早くからナロードニキの〈人民の意志〉派の運動に加わって,1889年シベリアのコリマ地方に流刑になり,10年余を同地で過ごした。94-96年,1900-02年チュクチ族を中心とする北東アジア諸民族の学術調査団に参加。18年以降はレニングラードの人類学・民族学博物館に勤め,21年レニングラード大学教授,32年ソ連邦宗教史博物館館長に就任した。多才な人で,《竜の生贄(いけにえ)》(1909)などの長編小説も書いたが,《ルオラベトラン語・ロシア語辞典》(1937)はチュクチ語(ルオラベトランはチュクチの自称名)の最初の辞典として知られ,主著《チュクチ族》2巻(1934,39)は,北アジア諸民族を研究する者の必読の書となっている。
執筆者:藤島 高志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報