人民(読み)じんみん

百科事典マイペディアの解説

人民【じんみん】

一般に,支配者との対抗関係で把握(はあく)された場合の民衆をさす。左翼諸勢力の用語として,その主体的性格の意味を強調し,消極的・受動的存在としての大衆と区別して多用される。また共和国の構成員をさす言葉としても用いられる。
→関連項目国家市民

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世界大百科事典 第2版の解説

じんみん【人民 people】

広い意味では国家の構成員を指し,国民と同義であるが,狭い意味では国民のなかから既存の支配層を除いた部分,すなわち被支配層としての国民を指す。こうした対比でみれば,国民が支配層も含めた全体の一体性を強調する概念であるのに対し,人民はむしろ被支配層の連帯と解放を重視する概念として用いられることが多い。〈人民主権〉や〈人民民主主義〉などの用例は,いずれもこれまで抑圧されてきた被支配層の解放によって,彼らが真の連帯を実現するために,主権民主主義を用いるとの意味を含んでいる。

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大辞林 第三版の解説

じんみん【人民】

〔古くは「にんみん」とも〕
国家を構成する人間。国民。 〔君主制における「臣民」に対して、共和制においていわれることが多い〕
国家における被支配者である国民。たみ。
国家・国民を超えた、積極的な政治的主体としての民衆。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

人民
じんみん
people英語
Volkドイツ語
peupleフランス語

このことばには、歴史・社会の状況に応じてさまざまな意味が与えられてきたが、今日では一般に、特定の社会ないし国家を構成する人々、とくに、支配者に対する被支配者を、社会的地位・階級・財産にかかわりなく人民と称している。語源的にはラテン語のpopulusに発し、本来は、政治支配を行う貴族に対立する存在を単に人民と称し、社会ないし国家を構成する「内的」な存在としてはかならずしもとらえられていなかった。社会や国家を構成する「内的」な存在として、今日のようにとらえられるようになったのは、フランス革命後のことである。
 フランス革命時においては、いわゆる小市民層・労働者・農民などを人民と称していたが、その後徐々に、社会や国家を構成する被支配者を広く人民と称するようになった。さらにそれに伴い、被支配者が支配者に対し究極的には統制を加えることができるという考え、いわゆるリンカーンの「人民の、人民による、人民の政治」という近代デモクラシーの人民主権の考えが確立するのである。一般には、人民が国家との間で法的な関係をもち、国家の支配の対象であるのみならず、国家の積極的な構成員となるとき市民と称している。さらに、人民が一体感に目覚め、共通の運命をもっていることを認識する存在、つまりナショナリズムに目覚めた存在になると、国民と称している。[谷藤悦史]

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世界大百科事典内の人民の言及

【大衆】より

…仏教用語では,多数の僧侶,多数の僧兵,すべての人間,すべての生物を意味している(読みは,だいしゅ,だいす,たいしゅう)。大衆の概念は,一方では〈人民people〉という概念と同一視され,他方では〈愚民foule〉というマイナス・シンボルと同一視される。マルクス主義において大衆とは,価値の創造者,歴史の主体的存在としてみなされ,社会主義革命の担い手となる労働者,農民を意味する。…

【大衆】より

…仏教用語では,多数の僧侶,多数の僧兵,すべての人間,すべての生物を意味している(読みは,だいしゅ,だいす,たいしゅう)。大衆の概念は,一方では〈人民people〉という概念と同一視され,他方では〈愚民foule〉というマイナス・シンボルと同一視される。マルクス主義において大衆とは,価値の創造者,歴史の主体的存在としてみなされ,社会主義革命の担い手となる労働者,農民を意味する。…

【平民】より

…(1)古代律令制下で位階官職をもたない一般人民をさした語。百姓,公民,良民と同様な意味で用いられた身分呼称であった。…

※「人民」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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