改訂新版 世界大百科事典 「ボスウェリア」の意味・わかりやすい解説
ボスウェリア
Boswellia
カンラン科ニュウコウ属Boswelliaの樹木で,約25種あり,熱帯アフリカの乾燥地帯に多く,また数種が西アジアからインドに分布する。幹上に芳香性の樹脂を出すものがあり,これは乳香(英名frankincense,olibanum)と呼ばれて,同じ科のコンミフォラ属Commiphoraの樹脂である没薬(もつやく)とともに,古くから宗教的儀式の薫香として用いられ,聖書にも記されている。アラビア半島南部,ソマリランドのB.carterii Birdw.はその代表的樹種で,高さ数mの小高木,羽状複葉をもつ。幹に傷をつけ,しみ出た樹脂がかたまるのを待って集める。市場に出された樹脂は半透明の黄白色,黄色または黄褐色の小塊で,火であぶると強い芳香を出す。薫香用のほか薬用,香料とする。東アフリカのB.frereana Birdw.,インドのB.serrata Roxb.など数種からも乳香が得られる。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報