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没薬 モツヤク

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デジタル大辞泉の解説

もつ‐やく【没薬】

熱帯産のカンラン科の低木コミフォラからとれるゴム樹脂。堅い塊状をなし、黄黒色で臭気が強い。エジプトミイラ製造の防腐剤や薫香料に用いた。痛み止めや健胃薬・うがい薬などに利用される。ミルラ

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百科事典マイペディアの解説

没薬【もつやく】

ミルラともいう。アラビアアフリカ産のカンラン科ミルラノキ属の植物から得られるゴム質樹脂。不規則な塊状物で,粉末は黄色。特異の臭気と苦味をもつ。中医学では血行を促し,腫れを消す作用があるとされ,打撲症,切り傷などに内用・外用とする。
→関連項目乳香

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世界大百科事典 第2版の解説

もつやく【没薬】

薬名。アラビア南西部山岳地帯の数ヵ所と対岸の東アフリカソマリアの一定地域に限定されて生育するカンラン科Commiphora属植物の樹皮の樹汁を自然乾固した赤褐色の植物性ゴム樹脂。基原植物によって品質に差があり,アラビア没薬,ソマリア没薬は良質,同じソマリア産でもビサボール没薬は劣る。偽没薬としてはインド産のブデリアムが古くから知られた。外国の生薬名はミルラmyrrha,myrrhで,これについては,キプロス王キニュラスの娘で父親に対する邪恋の罪で木に姿をかえられたミュラMyrrhaにちなむという言い伝えがある。

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大辞林 第三版の解説

もつやく【没薬】

北東アフリカ、アラビアなどに産するカンラン科の低木から得たゴム樹脂。古来、薫香料として珍重され、古代エジプトではミイラ製造の際に用いた。また、チンキ剤は刺激・防腐薬となる。ミルラ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

没薬
もつやく
myrrh

ミルラともいう。カンラン科Burseraceaeコミフォラ属Commiphoraの木本植物からとれるゴム樹脂を集めたもの。古代エジプトで薫香料、ミイラ製造時の防腐剤に用いられ、聖書にも貴重な品物として記述されている。この植物はアフリカ北東部、アラビア半島、インドの岩石の多い乾燥地帯に分布し、約100種を含む。高さ3~10メートル、樹皮は灰白色、短い枝はのちに長刺になり、小さな3小葉からなる複葉をもち、雌雄異株。幹の皮部と髄の離生分泌腔(こう)に黄白色の油性ゴム樹脂を形成し、風害などにより皮部に損傷を生ずると外部に滲出(しんしゅつ)し、乾燥して黄褐色ないし赤褐色の堅い塊となる。精油3~10%、樹脂25~45%、ゴム質50~60%、水分5%、その他3~4%からなり、収斂(しゅうれん)、鎮痛作用があるので、腫(は)れ物、外傷、打撲傷、痔漏(じろう)、筋肉痛の治療に外用し、歯齦(しぎん)炎、咽頭(いんとう)炎の含嗽(がんそう)料とし、歯みがき粉にも加えることがある。
 品質のもっともよいヘラボール・ミルラ(ソマリ・ミルラ)は、ソマリア、アラビア半島南部に分布するC. molmol Engl.から得られる。アラビア・ミルラはエチオピア、ソマリア、イエメンの高地に分布するC. abyssinica (Berg.) Engl.、C. schimperi (Berg.) Engl.から、ビサボール・ミルラはソマリア、エチオピア東部に分布するC. erythraea (Ehrenb.) Engl. var glabrescens Engl.から得る。なお花(はな)没薬と称するものは、東南アジアで各種植物の枝に寄生したラックカイガラムシの分泌物であり別物である。[長沢元夫]

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世界大百科事典内の没薬の言及

【カンラン(橄欖)】より

…樹脂は香,薬用,油脂原料に用いられる。聖書にも出てくる乳香(にゆうこう),没薬(もつやく)はそれぞれカンラン科ボスウェリアBoswelliaおよびコンミフォラ属Commiphoraの樹木の樹脂で,古くから祭式の香として用いられた。また木材としても広く利用され,なかでも熱帯西アフリカのオクメAucoumea klaineana Pierre(英名okoume)の材は淡色,軽軟で加工しやすい良材である。…

【香料】より

…こうしてヨーロッパ人による大航海時代が展開されたのであるが,すべては南アジアのスパイス獲得と支配から出発したのであった。 と言えば簡単なようであるが,紀元前の古代オリエントとエジプトが,アラビア南部と東アフリカ奥地とつながりがあったのは,乳香没薬(もつやく)と実体不明の肉桂(シナモン,カシア)のためである。紀元前後にローマ人,ギリシア人が,インド洋のモンスーンを利用しインド渡海を敢行したのは,胡椒を中心とするインドの薬物,化粧料,木綿,中国の絹などの獲得のためであった。…

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