改訂新版 世界大百科事典 「ボバック」の意味・わかりやすい解説
ボバック
bobak
Marmota bobac
別名,タルバハン,タルバガン(tarbagan)。齧歯(げつし)目リス科の哺乳類。マーモットに似て,さらに強靱な体をした半ば地下生のリスの1種。体長49~57.5cm,尾長10.6~13cm。体色に二つのタイプがあり,ヨーロッパにすむものは赤褐色,アジアのものは明るい麦茶色。ポーランド,ロシア,中央アジアから中国東北部までの草原(ステップ)に分布。地中に直径20~25cmのトンネルを,地下1.75~4.2mまで掘り進み,末端に直径50cmほどの巣室を設けて,家族群でくらす。おもに朝と夕方巣穴を出て,地上で草を食べる。冬眠から覚めてまもなく,4月中に交尾が行われ,雌は出産用の巣穴を元の巣穴の近くに別に掘って,5月に3~6子を生む。9月中旬から3~4月まで冬眠する。じょうぶな毛皮と皮革クリームとして有用な脂肪を採取するため,古くから狩られてきた。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報