改訂新版 世界大百科事典 「ボルトニャンスキー」の意味・わかりやすい解説
ボルトニャンスキー
Dimitrii Stepanovich Bortnyanskii
生没年:1751-1825
ロシアの作曲家。出身はウクライナ。1759年ペテルブルグの宮廷合唱団に採用された。65-68年宮廷楽長としてペテルブルグに滞在したイタリアのオペラ作家B.ガルッピに作曲を学び,1769-79年イタリア留学。ベネチアなどで少なくとも三つのオペラを作曲・上演した。帰国後は宮廷合唱団の楽長,のちには総監督になった。80年代にはオペラ,室内楽,鍵盤ソナタなど,世俗音楽の分野に多くの作品を残しているが,以後はもっぱらロシア正教会の典礼音楽を書いた。ロシア独自の教会音楽の形式である無伴奏の合唱コンチェルトを数多く作曲し,その新しい型を確立した。グリンカ以前では最も重要なロシア作曲家として高く評価されており,日本でも合唱音楽の分野でよく知られている。
執筆者:森田 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報