合唱音楽(読み)がっしょうおんがく(英語表記)choral music

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「合唱音楽」の意味・わかりやすい解説

合唱音楽
がっしょうおんがく
choral music

合唱で歌われ,そのために作曲される音楽。人間の自然な声によるため,器楽合奏に比べて音域などの制限はあるが,親しみやすく重厚な表現力をもつ。西洋ではルネサンスポリフォニー技巧の完成に伴って,ミサ曲やモテトなどに,まずア・カペラのすぐれた合唱音楽が現れた。同時代の多声のシャンソンマドリガルは,合唱の形態のほか,ソロ・アンサンブルで歌われることも多かった。 16世紀末から器楽伴奏の複合唱様式が登場し,壮大な響きと色彩的な効果が追求される。バロック期の合唱音楽の主軸となったのは,オラトリオ,受難曲や合唱カンタータである。特にヘンデルのオラトリオは,その後 19世紀まで大きな影響を与え続けた。グルックのオペラ改革以後,オペラの合唱曲は次第にドラマティックな色彩を帯びるが,ロマン派の市民的な合唱運動を支えたのは,主として抒情的な合唱リートと叙事的なオラトリオである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android