化学辞典 第2版 「マジック角回転」の解説
マジック角回転
マジックカクカイテン
magic angle spinning
NMR(核磁気共鳴)においてマジック角(54.74°)(静磁場の方向に対して3 cos2θ - 1 = 0を満足させる)だけ傾いた軸のまわりで試料を回転させ,固体試料のNMRスペクトルを高分解能化させる方法の一つ.この方法により,化学シフトの異方性,双極子-双極子相互作用,一次の核四極相互作用,体積磁化率などに起因する線幅を完全もしくは部分的に消去することができ,スペクトルが高分解能化する.一方,二次の核四極相互作用による線幅については,回転速度を速くしてももとの線幅の1/4~1/3程度にできるだけである.マジック角は,立方体の対角線が各稜となす角度である.試料はプラスチックもしくはセラミックス製の容器(ローターという)に入れ,圧縮空気などで浮かして回転させる.ローターの外径によって回転速度の上限が制限されるが,通常,5 kHz 程度の回転がよく用いられる.高速タイプのものでは10~20 kHz の回転,超高速タイプでは30 kHz 程度の回転が可能である.[別用語参照]CP-MAS(シーピーマス)
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報