外部磁場Hにより磁性体内に誘発される磁化Mとの間にM=χHという関係がある場合のχのことを磁化率とよぶ。帯磁率、磁気感受率ともいう。外部磁場Hと磁化Mを結び付ける物性値の一つ。磁化率χは物質が等方性をもつ場合、定数だが、異方性をもつ場合、テンソルになる。常磁性体では磁化率χは10-3~10-6程度の正の値をもち、反磁性体では磁化率χは10-6程度の負の値をもつ。外部磁場にはほとんど影響されないが物質によって決まる定数で、強磁性体では外部磁場により磁化率が異なる。
磁化率と温度の関係については、常磁性体の磁化率χが絶対温度Tに反比例するというキュリーの法則や、強磁性体や反強磁性体の磁化率χが磁気転移温度以上の絶対温度Tではχ=C/(T-θ)と表されるキュリー‐ワイスの法則が有名である。Cはキュリー定数、θは常磁性キュリー温度またはワイス温度である。
[山本将史 2022年3月23日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
物質を磁場のなかに入れたときに生じる磁化Mと磁場の強さHとの関係が
M = χH
で表されるとき,物質定数χを磁化率という.このようなMとHの比例関係は,常磁性,反磁性,反強磁性では成り立つが,強磁性においてはMはHに比例せず,いわゆる磁化曲線をたどるので,磁化率を定義することはできない.常磁性体はχ > 0の値をもつ.磁化率と透磁率μとの関係はガウス単位系で表すと,
μ = 1 + 4πχ
と与えられる.磁化の大きさは物質の量に比例するが,とくに1 mol 当たりの磁化率を分子磁化率またはモル磁化率という.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…つまり,磁場がなければ個々の電子の磁気モーメントはばらばらにあらゆる方向を向いていて,平均して磁化は0になっているが,磁場が加わると磁場の方向に向きがそろって磁化が現れる。比例定数χは磁化率または帯磁率と呼ばれる。磁化率が正の場合,すなわち磁化が加えた磁場に平行な場合,その物質の磁性を常磁性と呼び,磁化率が負で,磁化が加えた磁場に反平行な場合を反磁性と呼ぶ(物質が等方的でなければ磁化率はテンソルになる)。…
※「磁化率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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