magnetic susceptibility
与えた磁場の強さ(H)に対する誘導磁化の強さ(M)(M=xH,x:磁化率)。帯磁率とも。SI単位系では,単位体積当りの磁化率は無次元,単位質量当りの磁化率はm3kɡ−1。測定には一般に100A/m程度の強度,0.5~10kHz程度の周波数の交流磁場を用いる。この程度の弱磁場では磁化率は磁場強度に依存せず,これを特に初磁化率(または初帯磁率,初期磁化率,initial susceptibility)と呼び,強磁場での磁化率と区別する。地質試料では含有強磁性鉱物の量・鉱物組成・粒径分布等に支配され,特に磁鉄鉱の含有量と相関が高いが,強磁性鉱物含有量がきわめて少ない試料では常磁性や反磁性を示す鉱物の寄与も重要となる。一般に苦鉄質の火山岩・深成岩で単位体積当たり10−1~10−3程度と大きく,堆積物・堆積岩では10−3以下と小さい。温度に依存し,特にキュリー点や低温での磁気相転移に伴う特徴的な変化は,強磁性鉱物の種類・組成の決定に役立つ。与えた磁場の周波数が高くなるに従い磁化率が減少することを,磁化率(帯磁率)周波数依存性(frequency dependence of magnetic susceptibility)という。これは磁化の緩和現象に伴うもので,超常磁性粒子の粒径分布に支配される。地質試料では前記の周波数程度では0~15%くらいの変化を示す。磁化率は厳密には2階の対称テンソルである。すなわち,磁化率は試料の方向に依存し,誘導磁化方向は必ずしも与えた磁場方向と一致しない。これを磁化率(帯磁率)異方性(anisotropy of magnetic susceptibility;AMS)といい,磁化率楕円体の三つの主軸の方向と長さで定義される(K1,K2,K3;K1≧K2≧K3)。異方性の特徴を記述するパラメータとして,リニエーション(lineation;L =K1/K2),フォリエーション(foliation;F=K2/K 3)異方度(magnitude of anisotropy;P),形状パラメータ(shape parameter: T)などがよく用いられる。地質試料では,一般に磁化率楕円体の形が,含まれる強磁性鉱物結晶の長軸の統計的配向を表し,流理・堆積構造・変形ファブリックの検出に用いられる。感度が高く迅速に測定できることが特長。ただし,単磁区サイズの磁鉄鉱等,結晶の長軸方向が磁化率最小となる逆異方性を示すものが存在すること,強磁性鉱物の配向が他の鉱物の配向と同じとは限らないことなど,解釈には注意が必要。
執筆者:山崎 俊嗣
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
外部磁場Hにより磁性体内に誘発される磁化Mとの間にM=χHという関係がある場合のχのことを磁化率とよぶ。帯磁率、磁気感受率ともいう。外部磁場Hと磁化Mを結び付ける物性値の一つ。磁化率χは物質が等方性をもつ場合、定数だが、異方性をもつ場合、テンソルになる。常磁性体では磁化率χは10-3~10-6程度の正の値をもち、反磁性体では磁化率χは10-6程度の負の値をもつ。外部磁場にはほとんど影響されないが物質によって決まる定数で、強磁性体では外部磁場により磁化率が異なる。
磁化率と温度の関係については、常磁性体の磁化率χが絶対温度Tに反比例するというキュリーの法則や、強磁性体や反強磁性体の磁化率χが磁気転移温度以上の絶対温度Tではχ=C/(T-θ)と表されるキュリー‐ワイスの法則が有名である。Cはキュリー定数、θは常磁性キュリー温度またはワイス温度である。
[山本将史 2022年3月23日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
物質を磁場のなかに入れたときに生じる磁化Mと磁場の強さHとの関係が
M = χH
で表されるとき,物質定数χを磁化率という.このようなMとHの比例関係は,常磁性,反磁性,反強磁性では成り立つが,強磁性においてはMはHに比例せず,いわゆる磁化曲線をたどるので,磁化率を定義することはできない.常磁性体はχ > 0の値をもつ.磁化率と透磁率μとの関係はガウス単位系で表すと,
μ = 1 + 4πχ
と与えられる.磁化の大きさは物質の量に比例するが,とくに1 mol 当たりの磁化率を分子磁化率またはモル磁化率という.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…つまり,磁場がなければ個々の電子の磁気モーメントはばらばらにあらゆる方向を向いていて,平均して磁化は0になっているが,磁場が加わると磁場の方向に向きがそろって磁化が現れる。比例定数χは磁化率または帯磁率と呼ばれる。磁化率が正の場合,すなわち磁化が加えた磁場に平行な場合,その物質の磁性を常磁性と呼び,磁化率が負で,磁化が加えた磁場に反平行な場合を反磁性と呼ぶ(物質が等方的でなければ磁化率はテンソルになる)。…
※「磁化率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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