磁化率(読み)ジカリツ(その他表記)magnetic susceptibility

デジタル大辞泉 「磁化率」の意味・読み・例文・類語

じか‐りつ〔ジクワ‐〕【磁化率】

磁界内に置かれた物体磁化の強さMと磁界の強さHの比。磁化率をχとすると、M=χHで表される。常磁性体では正、反磁性体では負となり、磁界の強さにほとんど依存しない。強磁性体では消磁状態から初磁化率という一定の値をとり、さらに磁界を強めると磁気飽和に達する。帯磁率受磁率磁気感受率

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精選版 日本国語大辞典 「磁化率」の意味・読み・例文・類語

じか‐りつジクヮ‥【磁化率】

  1. 〘 名詞 〙 物体の磁化と磁界の強さとの比。常磁性体では正、反磁性体では負で、これらの場合には値は小さく、磁界によってほとんど変わらない。強磁性体の場合はその値は大きく、磁界によって大きく変わり、初磁化率、最大磁化率などが定義される。どの場合も、温度によって変化することが多い。受磁率。帯磁率。〔現代大辞典(1922)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「磁化率」の意味・わかりやすい解説

磁化率
じかりつ
magnetic susceptibility

外部磁場Hにより磁性体内に誘発される磁化Mとの間にM=χHという関係がある場合のχのことを磁化率とよぶ。帯磁率、磁気感受率ともいう。外部磁場Hと磁化Mを結び付ける物性値の一つ。磁化率χは物質が等方性をもつ場合、定数だが、異方性をもつ場合、テンソルになる。常磁性体では磁化率χは10-3~10-6程度の正の値をもち、反磁性体では磁化率χは10-6程度の負の値をもつ。外部磁場にはほとんど影響されないが物質によって決まる定数で、強磁性体では外部磁場により磁化率が異なる。

 磁化率と温度の関係については、常磁性体の磁化率χが絶対温度Tに反比例するというキュリー法則や、強磁性体や反強磁性体の磁化率χが磁気転移温度以上の絶対温度Tではχ=C/(T-θ)と表されるキュリー‐ワイスの法則が有名である。Cキュリー定数、θは常磁性キュリー温度またはワイス温度である。

[山本将史 2022年3月23日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「磁化率」の意味・わかりやすい解説

磁化率
じかりつ
magnetic susceptibility

帯磁率ともいう。物質の磁気的性質,すなわち磁化難易の程度を示す量。SI単位で磁化 M磁場 H との関係を表す式 M=μ0χmH0真空透磁率 ) の χm をさす。M=χmH で定義される場合もある。χm次元前者では無次元,後者では μ0 と同じである。常磁性体では 10-3~10-6 程度,反磁性体では 10-6 程度の負の値,強磁性体では磁場によって変わるが,たとえば鉄などは 100程度以上の正の値をもつ。

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化学辞典 第2版 「磁化率」の解説

磁化率
ジカリツ
magnetic susceptibility

物質を磁場のなかに入れたときに生じる磁化Mと磁場の強さHとの関係が

M = χH
で表されるとき,物質定数χを磁化率という.このようなMHの比例関係は,常磁性,反磁性,反強磁性では成り立つが,強磁性においてはMHに比例せず,いわゆる磁化曲線をたどるので,磁化率を定義することはできない.常磁性体はχ > 0の値をもつ.磁化率と透磁率μとの関係はガウス単位系で表すと,

μ = 1 + 4πχ

と与えられる.磁化の大きさは物質の量に比例するが,とくに1 mol 当たりの磁化率を分子磁化率またはモル磁化率という.

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百科事典マイペディア 「磁化率」の意味・わかりやすい解説

磁化率【じかりつ】

磁化Mと磁界Hは比例関係M=χHにあり,この比例定数χを磁化率という。なお,透磁率μとの関係は, μ=(χ−1)/4πとなっている。
→関連項目反強磁性

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世界大百科事典(旧版)内の磁化率の言及

【磁化】より

…つまり,磁場がなければ個々の電子の磁気モーメントはばらばらにあらゆる方向を向いていて,平均して磁化は0になっているが,磁場が加わると磁場の方向に向きがそろって磁化が現れる。比例定数χは磁化率または帯磁率と呼ばれる。磁化率が正の場合,すなわち磁化が加えた磁場に平行な場合,その物質の磁性を常磁性と呼び,磁化率が負で,磁化が加えた磁場に反平行な場合を反磁性と呼ぶ(物質が等方的でなければ磁化率はテンソルになる)。…

※「磁化率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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