マスオさん現象(読み)ますおさんげんしょう

知恵蔵 「マスオさん現象」の解説

マスオさん現象

夫が、妻の実家に、婿入りという形をとらずに同居する家族形態。長谷川町子の国民的マンガ『サザエさん』の中で、フグタマスオ・サザエ夫婦が、サザエの両親弟妹(磯野姓)と同居していることに由来嫁入りによる3世代家族では嫁・姑関係が対立しやすいが、舅・婿は平日は仕事のため、家庭内での摩擦は起きにくいといわれている。姓は夫方を名乗るため、夫や夫方の親の体面も保てる。また、同居による経済的余裕や、出産後の妻の仕事継続が容易となるなどのメリットもある。都会育ちの女性と地方出身の男性が結婚する機会が増え、2世帯住宅が一般化した1980年代から使われるようになった。精神科医の和田秀樹は「パラサイト・ダブル(寄生する2人)」と呼び、こうした家族形態を推奨している。

(山田昌弘 東京学芸大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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