改訂新版 世界大百科事典 「マスカト」の意味・わかりやすい解説
マスカト
Masqaṭ
アラビア半島東部にあるオマーンの首都。都市域人口64万(2003)。オマーン湾に面した自然の盆地に位置し,良港に恵まれ,古くからアラビア半島を経由する東西貿易の中継港として知られた。1507年ポルトガルに制圧されたが,ヤーリバ族出身のイマーム,スルタン・ブン・サイフが1650年に奪回した。城壁都市のマスカト,スーク(市場)と港をもつマトラ,官庁街と住宅街のルーイ,王宮と空港のあるシーブをあわせて,マスカト首都圏を構成する。マスカト旧市街は中世風の城壁,門,モスク,スークなどで独特の雰囲気を保つが,1970年に永年の鎖国状態が解かれて以来,周辺にホテル,スーパー・マーケットが現れ,首都圏の様相を急変させている。港に面したマスカト島は入港船の名を岩壁に記した〈記帳録〉が名物となっている。
執筆者:浅井 信雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報