改訂新版 世界大百科事典 「マスジェデジョメ」の意味・わかりやすい解説
マスジェデ・ジョメ
Masjed-e Jom`e
イランのイスファハーンにあるモスク。イランにおけるセルジューク建築の傑作。名称は〈金曜モスク〉の意。日本ではマスジド・ジャーミーともよばれる。創設は8世紀といわれるが,旧態をとどめているのはセルジューク朝以降の部分である。回廊に囲まれた中庭を中核とする4イーワーン形式で,南西イーワーンに隣接するドームを架けた大礼拝堂(1092),同じく主軸上にある中庭北東側のドームを架けた小礼拝堂(グンバデ・ハーキー。1088)が重要。以上の遺構の周囲に,後代,増改築が相次ぎ,イル・ハーン国第8代ウルジャーイトゥーによる北西イーワーン北側の礼拝堂(煉瓦と漆喰(しつくい)による優美なミフラーブが著名。1310),ムザッファル朝のマドラサ(1367),ティムール朝の冬の礼拝堂(1448)が造られた。サファビー朝のミナレット,イーワーンに加えられたタイル張りのムカルナス(鍾乳石飾り)その他の壁面装飾も残る。
執筆者:杉村 棟
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報