翻訳|plaster
壁塗りの素材。大別して2種類の素材がある。一つは日本で古代以来用いられてきた石灰プラスターというべきもので,消石灰に苆(すさ)(きざんだ麻糸などの繊維質)と糊(フノリ,ツノマタなどの膠着剤)を加えて水練りした左官材料である。壁,天井に塗られ,瓦や煉瓦の目地などに用いられる。また,山土に消石灰とにがりを混ぜ,たたき締めて土間床をつくるものを〈叩(たた)き漆喰〉または〈たたき(三和土)〉という。漆喰は〈石灰〉の字音のなまった言葉といわれる。砂を加えた耐久力のある漆喰が用いられるようになったのは近世になってからで,社寺建築をはじめ城郭,民家などに広く用いられ,幕末以降は洋風建築にも盛んに用いられた。白色が普通であるが,灰墨を混ぜた鼠(ねずみ)漆喰もあって,江戸時代以降民家に用いられた。また,江戸時代中期には色のついた漆喰を用いて外壁に紋所や文字,絵などの浮彫をつくる鏝絵(こてえ)が行われたが,のちには伊豆長八(いずのちようはち)など名工が出,内部の壁にも及んだ。洋風建築では天井のランプ吊り周辺に唐草模様などをつくることが盛んに行われた。
一方,ヨーロッパでは焼セッコウCaSO4・1/2H2Oが壁材として用いられてきた。焼セッコウは水和する際に自発的に凝結するので膠着剤を必要としない。
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…気硬性単味セメントに属する壁塗装用無機質材料。焼セッコウの意に用いられることもある。次のような種類がある。(1)セッコウプラスター 単にプラスターといったときはこれを指す。焼セッコウCaSO4・1/2H2Oに硬化を遅らせるための凝結遅延剤として,フノリ,ゼラチン,デンプン,ホウ砂などを添加したもので,上塗り用として使われる。また砂を混合して下塗り用ともする。さらに無水セッコウCaSO4に硬化を速めるための凝結促進剤として,石灰,ミョウバン,ポルトランドセメントなどを添加しても用いられる。…
※「漆喰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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