日本大百科全書(ニッポニカ) 「マダラメイガ」の意味・わかりやすい解説
マダラメイガ
まだらめいが / 斑螟蛾
昆虫綱鱗翅(りんし)目メイガ科の一亜科であるマダラメイガ亜科Phycitinaeのガの総称。日本産だけでも600種以上知られているメイガ科のなかで、この亜科のものはノメイガ亜科に次いで多く、120種余りが記録されているが、研究が非常に遅れているので、実際は200種くらい生息しているものと考えられる。はねは細長く、じみな色彩の種が多く、開張10~30ミリ。すべて夜行性で、灯火に飛来するが、幼虫が乾燥食品につくノシメマダラメイガ(米、クルミ、豆、乾果、菓子)、スジコナマダラメイガ(小麦粉、ふすま、そば粉、乾果)、チャマダラメイガ(葉タバコ)などの重要害虫は、長年、人家、倉庫、製粉工場などにすみついてよく適応しており、灯火には誘引されない。ナシマダラメイガやツツマダラメイガは果樹の害虫としてよく知られ、マツノシンマダラメイガ、マツノマダラメイガ、マツアカマダラメイガは、針葉樹の新梢(しんしょう)や球果などの害虫として林業に影響を与える。また、カラマツマダラメイガの幼虫は、山形県や長野県でカラマツ林に多発し、かなり被害が出ており、シロイチモンジマダラメイガの幼虫は、エンドウ、ダイズ、ササゲの大害虫で、莢(さや)内で食害する。
[井上 寛]