改訂新版 世界大百科事典 「マツノシンマダラメイガ」の意味・わかりやすい解説
マツノシンマダラメイガ (松心斑螟蛾)
Dioryctria sylvestrella
鱗翅目メイガ科の昆虫。翅の開張2.5~3cm。翅は細長く,前翅は黒褐色。銀白色の亜基線と内横線の間は帯状に赤褐色,横脈上に同じ色の紋があり,亜外縁線は鋸歯状,中央で強く突起する。後翅は周辺部を除き白色。日本全国のほか朝鮮半島からシベリアを経てヨーロッパに分布する。幼虫はアカマツ,クロマツ,トドマツなどマツ類の大害虫で,本州の山地や北海道では年2回,温暖地では年2~3回発生する。おもに新梢(しんしよう)に食入し,加害するが,幹に潜入して形成層を食害することがあり,この場合は大量の樹液が流出する。幼虫は食害部の中で越冬する。本種に近縁でマツ類の害虫として知られているマツノマダラメイガD.abietellaは,マツの葉や球果に食入する。カラマツ類に多い。またマツアカマダラメイガD.pryeriは,クロマツの新梢や球果を食害する。1960年に静岡県浜松でかなり大きな被害を受けたという報告がある。
執筆者:井上 寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報