マッチング理論(読み)まっちんぐりろん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マッチング理論」の意味・わかりやすい解説

マッチング理論
まっちんぐりろん

さまざまな嗜好(しこう)や希望をもつ人々同士の組合せについて研究する経済学理論。同理論の基礎をつくったアメリカ、カリフォルニア大学ロサンゼルス校名誉教授のロイド・シャプレーLloyd S. Shapley(1923―2016)と、同理論を応用発展させたハーバード大学教授のアルビン・ロスAlvin E. Roth(1951― )は2012年のノーベル経済学賞共同受賞している。

 シャプレーとデビッド・ゲールDavid Gale(1921―2008)が発表した基本フレームは以下のようなものである。結婚相手を探している男女がそれぞれ同数いるとする。まずすべての男性(あるいは女性)がそれぞれ、気に入った女性(あるいは男性)一人に対し、告白する。複数の人から告白を受けた人は、もっとも気に入った一人だけ保留し、それ以外を拒否する。拒否された人は2番目に気に入った人に対して告白する。これを繰り返していくと、もっとも安定した組合せに落ち着き(この状態を「安定マッチング」とよぶ)、全体としてもっとも満足度の高い組合せが決定される。

 この理論は、「医学部学生」と「インターン受け入れ病院」、「中学校卒業生」と「公立高校」などの選択制度に活用されている。また「臓器ドナー」と「患者」のマッチングなど、限られたもの(たとえば資源など)を配分する際にも応用されている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例