デジタル大辞泉 「告白」の意味・読み・例文・類語
こく‐はく【告白】
1 秘密にしていたことや心の中で思っていたことを、ありのまま打ち明けること。また、その言葉。「罪を
2 キリスト教で、自己の信仰を公に表明すること。また、自己の罪を神の前で打ち明け、罪の許しを求めること。
[補説]書名別項。→告白
[類語]自白・自供・白状・打ち明ける・懺悔・口を割る・泥を吐く・話す・語る・しゃべる・物言う・口を利く・伝える・告げる・言う・述べる・物語る・明かす・説明する・述懐する・
アウグスティヌスの代表作の一つ。397年から400年にかけて書かれた13巻の書。そのうち1~9巻は自伝であって,幼少年時代の思い出,学業,読書,交遊,マニ教への入信とそこからの離脱,32歳のときの回心,その後しばらくのカッシキアクムでの生活と母モニカの死を記録している。第1巻冒頭に〈あなたはわたくしたちをあなたに向けて造られた。それゆえ,わたくしたちの心はあなたの内に憩うまでは平安を得ない〉とあり,この自伝は罪を表白しつつ神の愛と導きをたたえていることから,《懺悔録》とも《賛美録》とも訳される。後半の10~13巻は神の認識を主題とする思索である。ここに見る記憶論や時間論は,現代哲学においてもつねに顧みられる重要なもの。〈時間とは何か。だれもたずねないとき,わたくしは知っている。しかし,たずねられて説明しようとするとわたくしは知らない〉(11巻14章)の句は有名である。11~13巻は旧約聖書《創世記》1章の解釈であって,これは神と世界の二元論を主張するマニ教と対決して,キリスト教の神観を明示しようとした戦闘的なものである。そこでこの書の全体の統一がどこにあるかがよく論ぜられるが,ただの自伝ではなく,罪の許しの体験を通じて宇宙と歴史の支配者たる神をたたえ,同時にキリスト教とマニ教の相違を示すという意図から書かれたといえる。その回心のできごとは修道士の模範としても書かれたので,単なる記録ではない高度の文学性を備えている。
執筆者:泉 治典
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…すなわち阿弥陀仏に懺悔して福利を求める〈阿弥陀悔過(あみだけか)〉,薬師如来を本尊として懺悔する〈薬師悔過〉などがそれである。 キリスト教においては,告白,告解などが懺悔の意味に用いられている。〈告白〉は一般に自己の信仰を表明することによって過去の生き方を悔い改めることであり,〈告解〉はとくにカトリックの用語で,洗礼後に犯した罪を聴罪司祭に告白して許しを受けることである。…
…
[生涯]
北アフリカのヌミディア州タガステに,異教徒の父パトリキウスPatriciusとキリスト教徒の母モニカMonicaとの子として生まれた。46歳のときに書いた自伝《告白》によれば,16歳のときカルタゴに出て修辞学を中心とする自由学科を学んだが,ある女性と同棲して1子アデオダトゥスを生んだ。さらにマニ教の世界理解に興味を覚えて入信した。…
…英語のautobiographyが,現在各国で通用する呼び名の原語とほぼいえるようで,これは19世紀初頭にようやく使われ出した。しかし,5世紀の神学者,アウグスティヌスの《告白》は,その切実な内面性と描写力によって卓抜な宗教的自伝であり,1世紀のユダヤの軍人ヨセフスの《自伝》もまた,みずからにふりかかった汚名をそそぐことを目ざした自己弁護型の自伝の先駆にほかならない。さらに古く,中国の司馬遷の〈太史公自序〉があり,また古代の碑文,遺言などの中に自伝の発端を探り出すことも十分に可能だろう。…
…313年のキリスト教公認を境に,4世紀から5世紀にかけて,《マタイによる福音書》を叙事詩にしたユウェンクスJuvencus,雄弁家ラクタンティウス,賛美歌作者で人文主義に反対した神秘主義者アンブロシウス,古代最大のキリスト教ラテン詩人プルデンティウスとその後継者ノラのパウリヌスなどが活躍したが,古代最大の2人のキリスト教作家も続いて現れた。一人は,全古典作家に精通した人文主義者である一方,聖書をラテン語に翻訳して,異教の伝統とキリスト教とを照応させたヒエロニムス,もう一人はヨーロッパ最初の自叙伝《告白》と,《神の国》などの著作で名高いアウグスティヌスである。こうみてくると,一部にアンブロシウスのような反人文主義の主張があったとはいえ,全体としてはキリスト教作家たちは古典を尊重し,これを習得研究してキリスト教思想と融合させようとしている。…
※「告白」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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