改訂新版 世界大百科事典 「マツノミドリハバチ」の意味・わかりやすい解説
マツノミドリハバチ (松緑葉蜂)
pine sawfly
Nesodiprion japonica
膜翅目マツハバチ科に属する昆虫。日本に広く分布し,ヒマラヤスギ,カラマツ,マツ属の害虫として知られる。成虫の体長7~8mm。体は黒色で,小楯板(しようじゆんばん)は黄白色。触角は羽状。翅は透明。脚は黄白色で,腿節は黒色。卵はバナナ状,橙黄色。年2~3回発生。前蛹態(ぜんようたい)で越冬。春に羽化した雌成虫は,旧葉の葉肉内に1粒あて産卵。孵化(ふか)した幼虫は旧葉を食する。次世代の雌成虫は,旧葉,当年葉のいずれにも産卵。孵化幼虫は,新,旧いずれの葉も食べる。幼虫は,1針葉に集合して摂食するという報告と,1針葉に1匹の幼虫がいて摂食するという報告がある。マツノキハバチNeodiprion sertiferは,マツ属を加害。卵越冬で,孵化幼虫は群生して当年葉を食害する。年1世代。マツノクロホシハバチDiprion nipponicaは,マツ属とカラマツ属の植物を加害する。日本には,マツハバチ科に属するものとして,ほかに4属11種が知られる。
執筆者:富樫 一次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報