日本大百科全書(ニッポニカ) 「マドンナの宝石」の意味・わかりやすい解説
マドンナの宝石
まどんなのほうせき
I gioielli della Madonna
イタリアの作曲家エルマンノ・ウォルフ・フェラーリ作曲のオペラ。全三幕。「聖母の宝石」とも訳される。ナポリを舞台にした悲劇で、19世紀後半にイタリアでおこったベリズモ(現実主義)の影響のもとに書かれている。鍛冶(かじ)屋の若者ジェンナロは義妹のマリエラを愛しているが、マリエラに言い寄った秘密結社の首領ラファエレの、彼女のためなら聖母像の宝石の首飾りをも盗むということばを聞き、自分が宝石を盗んで彼女に与える。しかし結局は彼女に裏切られ、絶望のあまりジェンナロは自刃する。このオペラには二つの美しい間奏曲があり、単独でもしばしば演奏されるが、作品の名が広く知られているのも、この間奏曲の存在ゆえといえよう。1911年ベルリンで初演された。
[三宅幸夫]