日本大百科全書(ニッポニカ) 「マファルゾール」の意味・わかりやすい解説
マファルゾール
まふぁるぞーる
Mapharsol ドイツ語
マファルセンともいい、ヒ素化合物である塩酸オキソフェナルシンの商品名。エールリヒと秦(はた)佐八郎によって初めて取り出されたが、毒性のために用いられなかった。その後、微量でも効力が大きいことが注目され、梅毒の治療に用いられるようになり、回帰熱、鼠咬(そこう)症、ワイル病、熱帯病のフランベジア、マラリア、ワンサンアンギーナなど、スピロヘータやトリパノソーマによる疾患の治療剤としても注射で使用されたが、現在はまったく使われていない。注射用オキソフェナルシンは、塩酸オキソフェナルシンに無水炭酸ナトリウムと精製白糖を加えた安定な白色無臭の吸湿性粉末で、1号(0.04グラム)と2号(0.06グラム)の2種があった。
[幸保文治]
[参照項目] |
|